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4 麻薬・覚せい剤関係 次に,麻薬・覚せい剤関係の特別法犯について,最近五年間の推移をみると,I-37表のとおりである。麻薬取締法違反は,逐年大幅に減少を続け,昭和四四年は,同四〇年を一〇〇とする指数で示すと,二三にすぎない。あへん法違反は,昭和四四年において,前年の約三分の一に減少した。これらに対し,大麻取締法違反は,昭和四二年以降,逐年増加の傾向にある。なお,昭和四四年の麻薬犯罪の実態につき,警察庁の調査結果によると,麻薬取締法違反では,そのほとんどが医療麻薬の不正施用事犯であって,医療薬業関係者が検挙人員の三六・六%を占めており,あへん法違反では,検挙人員の九七・五%が,けしの不正栽培事犯である。その増加が憂慮されている大麻取締法違反にあっては,大麻草の不正栽培事犯の割合が,二五・六%にとどまっており,検挙人員の約四分の三が,大麻たばこ等の密輸入,所持等の事犯である。また,栽培違反を除く同法違反の検挙人員中,日本人の占める割合は,昭和四二年,四三年の両年において約二五%であったのに対し,昭和四四年には,その割合が五一・二%に増加しており,一方,麻薬取締法違反や,後に触れる覚せい剤取締法違反にあっては,検挙人員中少年の占める割合が三%以下であるのに対して,大麻取締法違反では,栽培違反を除く検挙人員の一二・六%が,少年によって占められていることが注目されるところである。
I-37表 麻薬,覚せい剤関係特別法犯検察庁新規受理人員(昭和40〜44年) 覚せい剤取締法違反は,昭和二九年の最盛期には,年間受理が五万人をこえたが,その後,ほとんど根絶に近い状態となった。しかし,再び漸増し始め,昭和四三年には九百人をこえているが,昭和四四年には,八二五人とやや減少を示している。しかし,警察庁の調査によれば,同年の検挙人員の五二・一%が,暴力団関係者によって占められており,これは,覚せい剤の取引が,暴力団の資金源の一部となっていることを示すものであろう。 |