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 昭和45年版 犯罪白書 第一編/第二章/二/5 

5 風俗関係

 次に,風俗関係について,新規受理人員の推移をみると,I-38表のとおりである。まず,売春防止法違反は,逐年減少を続けているが,もともと売春事犯は,多いとされ,この統計面における減少が,直ちに実際に犯罪が減少したことを意味するものとは,必ずしも断定できない。次に,風俗営業等取締法違反と職業安定法違反の受理人員は,いずれも,昭和四三年までは逐年増加していたが,昭和四四年に至り大幅な減少をみている。児童福祉法違反は,昭和四三年以降減少の傾向にある。この種の犯罪は,ややもすると,人身売買や暴力団の資金かせぎと密接な関係があるので,その動向には注意を要するところである。ちなみに,昭和四三年中のこの種事犯の検挙人員の中で,たとえば,売春防止法第七条の人を困惑させる等により売春させる行為の六六・七%,同法第一二条の管理売春の二三・七%,職業安定法第六三条の強制あるいは有害職業紹介の四三・一%,児童福祉法第三四条第一項第六号の,児童に淫行させる行為の三八・五%までが,暴力団関係者によって占められるところとなっている。競馬法違反は,昭和四二年に一時減少した後,四三年に急増し,四四年には再び減少しているものの,昭和四〇年を一〇〇とする指数で一一九と,かなり高い数字を示している。これに対し,自転車競技法違反は,逐年減少の傾向にある。ところで,これらの違反行為の大部分は,私設の馬券や車券を客に売り,これが的中すると,配当金を渡すというやり方の投票類似行為で,俗に「のみ行為」といわれているものであるが,これらは,暴力団関係者あるいはそれに近いグループの者によって行なわれ,直接・間接に暴力団の資金源となっていることが多い点に注意しなければならない。

I-38表 風俗犯関係特別法犯検察庁新規受理人員(昭和40〜44年)