I-23表および24表は，性犯罪の発生件数と検挙人員を示すものである。まず，強姦(同致死傷を含む。)についてみると，発生件数，検挙人員ともに，最近はわずかずつ減少する傾向を示している。また，強制わいせつ(同致死傷を含む。)は，発生件数においてやや増加がみられるが，検挙人員においては，おおむね横ばいの傾向にあり，一方，公然わいせつとわいせつ文書・図画の頒布・販売等については，昭和四四年に発生件数が，前年に比してかなりの割合で増加しながら，逆に，検挙人員の減少をみている。これは，一人で数件を犯す常習者の増加を物語るものであろう。

I-23表　性犯罪の発生件数(昭和34,40〜44年)

I-24表　性犯罪検挙人員(昭和34,40〜44年)

　次に，検察統計により，昭和三四年および四〇年以降の性犯罪の新規受理人員をみたのが，I-25表である。これによると，昭和四四年には，強姦と公然わいせつが前年より減少し，強制わいせつとわいせつ文書頒布等が前年より増加し，性犯罪の合計数においては，昭和四二年以降，減少の傾向にあることが認められるが，昭和四四年の数字を，一〇年前の三四年と比較すると，強姦以外の各罪名について，大幅な増加のみられることは注意を要するところであろう。

I-25表　性犯罪罪名別検察庁新規受理人員(昭和34,40〜44年)