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 昭和44年版 犯罪白書 第二編/第二章/二/3 

3 出院の状況

 補導成績の良好なものには,地方更生保護委員会の決定によって,仮退院が許されるのであるが,II-135表に示すとおり,昭和四三年についてみると,出院者一三四人中,仮退院は,わずか二人で,減少が著しい。大部分の者が,補導期間の満了による退院である。

II-135表 婦人補導院出院状況(昭和33〜43年)

 なお,昭和四三年の出院者のうち,その帰住先を夫または親族以外のもとに求めなければならなかった者が六四人(四八%),生活手段の見通しのない者が二四人(一七%)であり,帰住地の環境整備を必要とする者が多い。
 II-136表は,最近五年間の再入院者について,前回出院時から再犯までの期間を調べたものである。これによると,出院後短期間内に再犯している者が多く,昭和四三年における再入院者四八人のうち,六か月未満に再犯した者は一九人,一年未満は一三人である。

II-136表 婦人補導院新収容者中再入院者の再犯期間別人員(昭和39〜43年)

 婦人補導院においては,在院者に精神薄弱者や身体疾患を有する者が多く,処遇期間も六か月に限られているなど,処遇の効果をあげるために種々の困難な事情はあるが,補導処分の効果を十分に発揮するためには,さらに,社会一般および関係諸機関の正しい理解と協力を得るための努力も必要であろう。