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 昭和44年版 犯罪白書 第二編/第一章 

第二編 犯罪者の処遇

第一章 検察および裁判

 ある者が,犯罪者であることを確定するためには,一定の手続に従い,証拠によって,その者が有罪であることの証明がなされなければならない。この手続が刑事手続であり,その基本的なものは刑事訴訟法に定められている。刑事手続は捜査に始まり,検察官の起訴,不起訴の決定を経,公訴の提起をみた者については,これにもとづく訴訟手続を経て,裁判の確定により終結する。
 このように,刑事手続の出発点をなす捜査を担当する機関としては,警察官である一般司法警察職員と,森林,麻薬その他特別の事項についてその職務を行なう特別司法警察職員などと,検察官および検察事務官があるが,検察事務官は,検察官の指揮を受けて捜査をしなければならないこととされており,また,司法警察員等が,捜査をしたときは,特別の定めがある場合を除いて,すみやかに書類および証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならないこととされている。したがって,ほとんどすべての事件が検察官の手もとを経由するわけであり,かつ,検察官には広範な起訴,不起訴の決定権が認められるとともに,公訴提起の権限も検察官に専属させられているから,検察官の行なう起訴,不起訴の処分が,原則として捜査のしめくくりをなしているといえる。そこで本章においては,このように,犯罪者処遇の出発点となる検察の概況,次いで,公訴を提起された者に対する裁判の概況を,それぞれ,主として統計の面からながめていくこととしたい。