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2 女子犯罪の特徴 昭和四三年の刑法犯検挙人員を年齢層別にみると,I-124表のとおりで,女子検挙人員の場合には,二〇〜二九歳の層が三二・六%を占めて最も多く,次いで三〇〜三九歳の層が二三・六%であり,一四〜一九歳の少年層が二一・〇%とつづき,四〇歳以上の層では年齢が高くなるにしたがって減少している。男子検挙人員でも,年齢層それぞれが占めている比率の順位はかわりがないが,女子に比べて,四〇歳以上の層で急激に減少している。
I-124表 年齢層別刑法犯検挙人員(昭和43年) また,女子検挙人員の男子一〇〇に対する割合においては,検挙人員の最も多い二〇〜二九歳の層が五・一で最も低く,次いで一四〜一九歳の層が低いが,三〇歳以上の層では,実人員とは逆に,年齢の増加につれて,男子に対する割合が上昇し,六〇歳以上の層では二〇・七にも達しており,男子に比べていえば,一般的に高齢の層ほど犯罪に陥る者が多くなっている。さらに,男子の犯罪と比較して,女子の犯罪の特徴を明らかにするため,最近三年間の刑法犯による女子検挙人員について,主要罪名別に,男子一〇〇に対する割合を示すと,I-125表のとおりで,男子に対する割合が高いのは,過失致死傷の九五・三ないし一〇六・四,窃盗の二二・八ないし二六・四,殺人の一九・七ないし二一・九,放火の一七・四ないし一八・六であり,これに対して,恐喝,傷害,暴行等の暴力的犯罪は著しく少ない。また,従来から,女子に固有な犯罪として指摘されている,嬰児殺について,検挙人員の資料がないので,昭和四二年の通常第一審有罪人員をみると女子は,男子の一〇〇に対し,二五〇と大幅に男子を上回っている。 I-125表 主要刑法犯女子検挙人員の男子に対する百分比(昭和41〜43年) 以上の,男子に対する女子の割合から,女子の犯罪の特徴を述べると,第一に,子供の出産と,その養育に関係した犯罪(嬰児殺)が目だっていることであり,過失致死傷の多くも子供の養育と関連があると思われる。第二に,女子の体力が弱いという身体的条件から暴力的犯罪の著しく少ないこと,そうした暴力的犯罪の代償的行為というべき犯罪(放火)のみられることが特徴的といえよう。また,殺人の割合が比較的高いことも目だっている。殺人の検挙人員には,嬰児殺が含められており,一概にはいえないが,殺人は,しっと,えん恨,憎お等の熱情ないし激情に基づく場合が多く,しかも,毒物の使用などにより,体力の弱い女子にも遂行可能なことが特徴的であるといえよう。 |