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自動車を運転しようとする者は,公安委員会の運転免許を受けなければならないが,大型免許は原則として二〇歳,普通免許等は一八歳,二輪免許,原付免許等は一六歳に,それぞれ,達しなければ,与えられないことになっている。そのうえ,社会的にも,経済的にも,少年が自動車を運転する機会は,成人に比べて比較的少ないが,交通犯罪のうち,少年によって犯された事件の占める割合は,相当数に上り,しかも,その内容は,無免許運転ないしは無免許運転の際に事故を起したものの占める割合がきわめて多く,これが大きな特色となっている。
I-93表は,警察から,道路交通法に違反するものとして,検察庁ならびに家庭裁判所に送致された事件(昭和四三年は,交通反則通告制度の適用を受けて,反則金を納付した者を含む。)について,最近五年間の総数と少年の占める割合をみたものであるが,昭和四三年は,少年の犯した道路交通法違反が五八一,二九七件で,全体の一四・七%を占めている。 I-93表 道路交通法違反少年事件累年比較(昭和39〜43年) 昭和四三年における少年の道路交通法違反事件を態様別にみると,I-24図のとおりであり,また,成人事件(告知を含む。)についてみると,I-25図のとおりである。これらを比較すると,その態様がかなり違っていることが明らかであり,成人事件では,無免許運転が五・五%であるのに対し,少年の場合には,この割合が,二六・一%にも及んでいるのである。I-24図 少年の道路交通法違反態様別百分比(昭和43年) I-25図 成人の道路交通法違反態様別百分比(昭和43年) 次に,検察庁で既済となった人身事故事件のうちで,受理時少年であったものの占める割合を,最近五年間についてみると,I-94表のとおりである。業務上過失致死傷については,少年の占める割合が,一五・四%ないし一七・五%であるのに対し,重過失致死傷では,四四・五%ないし四九・四%と,約半数近くが,少年によって占められており,無免許運転の多い,少年の交通犯罪の特色を明らかにしている。I-94表 既済事件の受理時少年人員(昭和39〜43年) このような少年の交通犯罪が,家庭裁判所においてどのように処理されているかを,最近五年間についてみたものが,業務上過失致死傷についてのI-95表と,道路交通法違反事件(自動車の保管場所の確保等に関する法律違反を含む。)についてのI-96表である。これらによってみると,検察官への逆送率は,業務上過失致死傷で三八%ないし四五%,道路交通法違反で一四%ないし一八%であるが,昭和四二年は前年より,いずれも逆送率が上昇している。これに反し,審判不開始,不処分に終ったものが,前者で約六〇%近く,後者で約八〇%にも及んでいるが,昭和四二年は前年に比べ,審判不開始,不処分の率が低下している。なお,道路交通法違反事件につき,逐年,わずかながらも保護観察に付せられるものが増加している。I-95表 業務上過失致死傷の家庭裁判所終局決定人員と比率(昭和38〜42年) I-96表 道路交通法違反の家庭裁判所終局決定人員と比率(昭和38〜42年) |