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 昭和35年版 犯罪白書 第四編/第二章/六/6 

6 二号観察の成績

 では,その保護観察の成績はどうであろうか。まず,IV-79表によって昭和三三年の終了者の状況をみると,退院(仮退院中の成績が良好なため退院の措置をとられたもの)が一・二パーセント,家庭裁判所取消(再犯であらたな処分に付されたため,事件競合により保護観察処分が取り消されたもの)が一五・九パーセント,戻し収容(遵守事項に違反して少年院に戻されたもの)が〇・八パーセント,満齢または期間満了による終了が八一・六パーセントとなっている。一号観察のそれと比較してすぐわかるのは,一号観察の解除(一六・二パーセント)に対応する退院がわずか一・二パーセントで,あまりにも少なく,そのかわり一号観察の家裁取消(一三・七パーセント)に対応する家裁取消と戻し収容の計が一六・七パーセントと多くなっていることである。この点からだけでも,二号観察の成績はあまり香しくないという印象をうける。しかし,八一・六パーセントは満齢または期間満了でいちおう保護観察期間を終了しているので,その内訳をみると「良好」九・六,「稍良」一二・二,「普通」四七・五,「不良」三〇・三のパーセンテージになっている。

IV-79表 一・二号観察の終了事由別人員と率(昭和33年)

 ここで,戻し収容になった者について,その事由となった犯罪または非行に陥るまでの経過期間はどのくらいかをみると,IV-80表のとおりで,その大多数は仮退院後六ヵ月以内ということになっている。この傾向は,仮出獄者にもみられるが,二号観察のほうがはっきりしており,しかも,この傾向は,年をおって強くなっているようである。

IV-80表 二号観察対象者中の戻し収容事由発生までの経過期間別人員の百分率