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 昭和35年版 犯罪白書 第四編/第二章/二/3 

3 養護施設

 養護施設は,乳児を除いて,いわゆる親のない児童,または,親があっても,いろいろの事情で,親もとで養育できない児童などを収容する施設で,昭和三四年一二月一日現在では,全国に五五七ヵ所(公立一〇〇,私立四五七),三五,一七四人(定員三六,七三五人)を収容している。
 少年法によって,家庭裁判所は,適当な児童を直接に養護施設に送致できることになっているが,その数はきわめて少ない(東京少年鑑別所で昭和三四年に扱った非行少年七,五一四人のうち,養護施設に送致されたのはいない)。もっとも,強制措置を要しないとして児童相談所に送致されたケース(年間六〇二件)のうち,養護施設に送られているものもあるはずであるが,その数は明らかでない。
 養護施設の収容期間は,平均四年である。昭和三三年八月の調査では,収容されている少年(三三,九三三人)の大部分をしめている学齢相当児(七四パーセント,小学校一六,八四七人,中学校八,四四四人)は,いずれも小,中学校に在学していた。
 養護施設は,すでに非行に陥った少年の教育施設というよりは,非行の原因となりやすい「環境上かけている養護」をおぎなうことによって,予防に重大な役割をはたしているということができよう。