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 昭和35年版 犯罪白書 第一編/第二章/七/4 

4 選挙犯罪の問題点

 さきに述べたように,最近において選挙犯罪は増加し,しかも悪質巧妙化している傾向がある。その原因はいろいろあろうが,何よりもまず,候補者,選挙運動者および選挙人の遵法精神の低いことであろう。これを是正して選挙の公明化を期するためには,多方面の施策や国民運動の展開にまつべきであろうが,選挙違反者に対する適切な取締りと処罰なども,必要かくべからざることである。
 選挙犯罪に対しいろいろきびしい制裁のあることは,さきにあげたとおりであるが,実際の運用ではかなり緩和されている面があり,選挙を粛正するために公職選挙法を改正すべきだという意見も多い。昭和三四年一二月に選挙制度調査会が内閣総理大臣に答申した改正意見の中にも,「選挙の腐敗を粛正するため,つぎのような措置を講ずること,(1)悪質な違反に対しては,かならず,選挙権および被選挙権を停止するものとすること,(2)連座制については,適用範囲の拡張,免責規定の再検討など,さらにその強化をはかること,(3)時効期間を延長すること(4)裁判の促進をはかること」などとある。