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 昭和35年版 犯罪白書 第一編/第二章/三 

三 麻薬犯罪,覚せい剤犯罪および酩酊犯罪

 麻薬や覚せい剤やアルコールは,それぞれ特有の作用をもった医薬品で,人の気分を快適にしまたは上機嫌にする特徴をもっているが,習慣作用があって,連用するとしだいに用量をまし,ついには嗜癖に陥り,慢性中毒症状を呈するようになる。そのため,特有の中毒性人格変化がおこって,意志抑制力が減退し,その健康に重篤な障害をおよぼすばかりか,家庭を破壊し社会にいろいろな害毒をながして,ついに民族の廃たいをもまねくおそれがある。したがって,麻薬は,ふるくから全人類の問題としてとりあげられ,国際条約による規制もされている。覚せい剤は,戦後,わが国の重大な社会問題となり,種々の規制がなされた。アルコール類については特別の取締法規はないが,これによる酩酊犯罪については,最近とくに深い関心がはらわれている。