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令和2年版 犯罪白書 第7編/第6章/第2節/1

1 調査対象者全体の特徴
(1)基本的属性

調査対象者の総数は,699人であった。

調査対象者の属性等を見ると,7-6-2-1表のとおりである。

平均年齢は43.5歳であり,全体の66.1%を男性,74.1%を再入者が占めた(男女別の結果については本節2項,初入者・再入者別の結果については同節3項参照)。なお,犯行時に仮釈放中又は刑の執行猶予中であった者の割合は22.5%であり,保護処分歴のある者は約3分の1を占めた。また,調査対象事件により一部執行猶予の言渡しを受けた者の割合は,26.2%であった。

7-6-2-1表 調査対象者の属性等別人員
7-6-2-1表 調査対象者の属性等別人員
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(2)調査対象事件

調査対象事件の態様について,覚醒剤を「具体的にどうしたものですか」と尋ねた結果は,7-6-2-2図のとおりである。

自己使用に該当する者の割合は9割を超えた。

7-6-2-2図 調査対象事件の態様
7-6-2-2図 調査対象事件の態様
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調査対象事件の覚醒剤の入手先について見ると,7-6-2-3図のとおりである。

知人が31.6%と最も高く,次いで,連絡先を知っている密売人(携帯電話で連絡を取ったなど)(29.3%),友人(18.7%)の順であり,面識のある相手からの入手が上位を占めた。

なお,覚醒剤を購入するための費用の調達方法(重複計上による。不詳の者を除く。)については,「自分の給料や小遣い」が67.5%(451人)と最も高く,次いで,「無料で入手した(配偶者や交際相手からの譲受を含む)」24.3%(162人),「公的扶助(生活保護費など)」8.4%(56人)・「ギャンブル」8.4%(56人),「犯罪による収益(窃盗など)」5.1%(34人)の順であった。

7-6-2-3図 覚醒剤の入手先
7-6-2-3図 覚醒剤の入手先
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調査対象事件の発覚の端緒について見ると,7-6-2-4図のとおりである。

職務質問が36.3%と最も高く,次いで,自宅に対する捜索(25.2%),別の犯罪で検挙されたこと(18.5%)の順であった。

7-6-2-4図 事件発覚の端緒
7-6-2-4図 事件発覚の端緒
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調査対象事件による検挙時の心情について見ると,7-6-2-5図のとおりである。

「家族・知人のことを思い出した」が68.1%と最も高く,次いで,「これで薬がやめられる」(40.2%),「仕事のことを思い出した」(34.6%),「刑務所に行くことになると思うと怖くなった」(34.5%),「運が悪かった」(26.8%)の順であった。

7-6-2-5図 検挙時の心情
7-6-2-5図 検挙時の心情
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(3)薬物乱用の状況

調査対象者の薬物犯罪による刑事施設への入所度数について,「今回の受刑も入れて,あなたが薬物犯罪(覚せい剤取締法違反など)で刑務所に入った回数」を尋ねた結果は,7-6-2-6図のとおりである。

薬物犯罪による再入者は474人であり,再入者518人のうち(7-6-2-1表参照),91.5%の者が薬物犯罪による再入者である(CD-ROM参照)。

7-6-2-6図 薬物犯罪による入所度数別構成比
7-6-2-6図 薬物犯罪による入所度数別構成比
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調査対象者の直近1年間の1月当たりの覚醒剤使用日数について見ると,7-6-2-7図のとおりである。

1月当たりの使用日数が「5日以下」の者が約6割を占める一方,16日以上の者も約2割と一定の割合を占めた。

7-6-2-7図 直近1年間の1月当たりの覚醒剤使用日数別構成比
7-6-2-7図 直近1年間の1月当たりの覚醒剤使用日数別構成比
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調査対象者が乱用(規制されている薬物を1回でも使用すること,処方薬・市販薬を本来の目的以外の理由により,又は,決められた用法・用量を超えて大量に服用することなどをいう。以下この節において同じ。)したことのある薬物のうち初回乱用時の年齢が最も若い薬物(以下(3)において「最初に乱用した薬物」という。)を調査時の年齢層別に見ると,7-6-2-8図のとおりである。

最初に乱用した薬物のうち最も割合が高いものは年齢層によって異なり,年齢層が上がるにつれて,最初に乱用した薬物が覚醒剤である割合が高くなる一方,年齢層が下がるにつれて,最初に乱用した薬物が大麻である割合が高くなる傾向にある。

7-6-2-8図 最初に乱用した薬物(調査時年齢層別)
7-6-2-8図 最初に乱用した薬物(調査時年齢層別)
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(4)アルコール依存・ギャンブル依存との関連

飲酒経験の有無について尋ねたところ,調査対象者のうち93.8%の者に飲酒経験があった(飲酒経験の有無が不詳の者を除く。)。飲酒経験がある者の問題飲酒の状況について,AUDIT合計得点(本章第1節2項(2)参照)を見ると,7-6-2-9図のとおりである。

全体で39.3%の者が「問題飲酒群」(合計得点8点以上)に該当していた。

7-6-2-9図 AUDIT合計得点による問題飲酒のリスクレベル別構成比
7-6-2-9図 AUDIT合計得点による問題飲酒のリスクレベル別構成比
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ギャンブル経験の有無について尋ねたところ,調査対象者のうち84.5%の者にギャンブル経験があった(ギャンブル経験の有無が不詳の者を除く。)。ギャンブル経験がある者の病的ギャンブリングの状況について,SOGS合計得点(本章第1節2項(3)参照)を見ると,7-6-2-10図のとおりである。

全体で45.0%の者が合計得点2点以上であり,ギャンブル依存の疑いが認められた。

7-6-2-10図 SOGS合計得点別構成比
7-6-2-10図 SOGS合計得点別構成比
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