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令和2年版 犯罪白書 第7編/第6章/第2節/3

3 初入者・再入者別の特徴

この項では,覚醒剤取締法違反による入所受刑者の再入者率が上昇傾向にあり,また,令和元年は入所受刑者全体の再入者率と比べて高い(本編第4章第3節3項(1)ア参照)ことなどに鑑み,初入者・再入者別の特徴を明らかにする。

(1)基本的属性

調査対象者の属性等を初入者・再入者別に見ると,7-6-2-26図のとおりである。

性別を見ると,再入者の約7割が男性であり,その割合は初入者と比べて顕著に高かった。

平均年齢は,初入者37.1歳,再入者45.8歳であり,年齢層を見ると,初入者では,30歳未満が約2割,30~39歳が約4割と両年齢層で過半を占めていたのに対し,再入者では,これら両年齢層を合わせて3割に満たず,40~49歳が4割を超え,65歳以上が6.4%を占めた。

調査対象事件における刑の一部執行猶予の有無を見ると,初入者の36.5%が一部執行猶予の言渡しを受けており,その割合は再入者と比べて顕著に高かったが,再入者でも,一部執行猶予の言渡しを受けた者は約2割いた。

保護処分歴を見ると,初入者の約3割,再入者の約4割に保護処分歴があった。

就労状況を見ると,初入者・再入者共に,無職者は5割を超えていた。

婚姻状況を見ると,初入者は未婚と離死別がそれぞれ3割を超えていたが,再入者は離死別が約5割と最も多かった。

7-6-2-26図 調査対象者の属性等(初入者・再入者別)
7-6-2-26図 調査対象者の属性等(初入者・再入者別)
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再入者(薬物犯罪による入所度数が不詳の者を除く。)の薬物犯罪(覚醒剤取締法違反等)による入所度数は,1度が24人(4.8%),2度が181人(36.3%),3度が103人(20.7%),4度が72人(14.5%),5度以上が118人(23.7%)であった。

7-6-2-27図は,再入者の前刑罪名(前回入所した時の罪名をいう。以下この項において同じ。)及び再犯期間(第5編第2章第3節4項参照)について,総数・男女別に構成比を見たものである。

前刑罪名は,全体では覚醒剤取締法違反が81.8%と大半を占め,次いで,窃盗(7.4%),傷害(2.7%)の順であった。特に女性では,前刑罪名が同法違反の者が9割を超え,そのほとんどが同法違反を繰り返した者であった。

再犯期間を見ると,前回の出所から1年未満で再犯に至った者は全体で28.5%,2年未満で再犯に至った者は54.6%であった。男性は,3月未満が8.0%,6月未満が10.2%であり,両者合わせて約2割がごく短期間で再犯に至っていたが,女性は,3月未満が2.6%,6月未満が3.3%と,両者を合わせた構成比は男性に比べて顕著に低かった。

7-6-2-27図 再入者の再犯状況(総数・男女別)
7-6-2-27図 再入者の再犯状況(総数・男女別)
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(2)調査対象事件
ア 調査対象事件の態様

調査対象事件の態様(重複計上による。不詳の者を除く。)を見ると,初入者・再入者共に,「使用」(初入者92.6%(162人),再入者89.7%(451人))の割合が最も高く,次いで,「単純所持」(初入者41.7%(73人),再入者33.8%(170人)),「譲受」(初入者18.3%(32人),再入者17.9%(90人)),「譲渡」(初入者4.6%(8人),再入者4.8%(24人)),「営利目的所持」(初入者4.0%(7人),再入者4.4%(22人))の順であった。

イ 覚醒剤の入手先

覚醒剤の入手先(重複計上による。不詳の者を除く。)は,「知人」が初入者29.4%(52人),再入者32.3%(161人),「連絡先を知っている密売人(携帯電話で連絡を取ったなど)」が初入者29.4%(52人),再入者29.3%(146人),「友人」が初入者16.4%(29人),再入者19.5%(97人),「連絡先を知らない密売人(路上で声をかけられたなど)」が初入者12.4%(22人),再入者16.5%(82人),「暴力団関係者」が初入者11.3%(20人),再入者14.1%(70人)であり,これらの割合は同程度であったものの,「インターネットを介した相手」については,初入者14.7%(26人),再入者7.0%(35人)と初入者の割合が顕著に高かった。

ウ 検挙時の心情

検挙時の心情(重複計上による。)については,初入者では,「家族・知人のことを思い出した」(72.4%(131人)),「刑務所に行くことになると思うと怖くなった」(51.4%(93人))の割合が半数を超え,次いで,「これで薬がやめられる」(44.8%(81人)),「仕事のことを思い出した」(37.6%(68人)),「運が悪かった」(26.0%(47人))の順であった。再入者では,「家族・知人のことを思い出した」(66.6%(345人))の割合が突出して高く,次いで,「これで薬がやめられる」(38.6%(200人)),「仕事のことを思い出した」(33.6%(174人)),「刑務所に行くことになると思うと怖くなった」(28.6%(148人)),「運が悪かった」(27.0%(140人))の順であった。

(3)薬物乱用状況等
ア 薬物乱用の生涯経験

7-6-2-28図は,薬物乱用の生涯経験率について,薬物の種類別に見るとともに,これを初入者・再入者別に見たものである。再入者と比べて初入者の生涯経験率が顕著に高い薬物は,危険ドラッグであり,逆に再入者の生涯経験率が顕著に高い薬物は,有機溶剤であった。

7-6-2-28図 薬物乱用の生涯経験率(種類別,初入者・再入者別)
7-6-2-28図 薬物乱用の生涯経験率(種類別,初入者・再入者別)
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イ 薬物依存の重症度

7-6-2-29図は,薬物依存の重症度別構成比を初入者・再入者別に見たものである。再入者は,集中治療の対象の目安とされる「相当程度」以上の者が5割近くを占めた。初入者は,再入者に比べて「軽度」の者が多かったが,「相当程度」以上の者も4割近くいた。薬物依存の重症度については,本章第1節2項(1)参照。

7-6-2-29図 薬物依存の重症度別構成比(初入者・再入者別)
7-6-2-29図 薬物依存の重症度別構成比(初入者・再入者別)
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ウ 注射器使用経験等

注射器で薬物を使用した経験がある者(不詳の者を除く。)は,初入者が88.1%(155人)(「1回~数回程度」19.9%(35人),「何回も」68.2%(120人)),再入者が95.8%(477人)(「1回~数回程度」18.1%(90人),「何回も」77.7%(387人))であり,再入者の割合が顕著に高かった。

また,注射器の回し打ちや共有経験がある者(不詳の者を除く。)は,初入者が62.3%(109人)(「1回~数回程度」34.3%(60人),「何回も」28.0%(49人)),再入者が72.1%(361人)(「1回~数回程度」30.7%(154人),「何回も」41.3%(207人))であり,回し打ちや共有経験についても,再入者の割合が顕著に高かった。

(4)薬物乱用と他の犯罪との関連

薬物入手のための犯罪の経験がある者(不詳の者を除く。)は,初入者13.0%(23人),再入者27.1%(137人),薬物影響下での犯罪の経験がある者(不詳の者を除く。)は,初入者1.7%(3人),再入者8.1%(41人)で,いずれも再入者の割合が顕著に高かった。

7-6-2-30図は,飲酒下・薬物乱用下での交通犯罪の経験の有無別構成比を,初入者・再入者別に見たものである。再入者は,飲酒運転,薬物乱用下での運転,薬物乱用下での無免許運転等の割合が,初入者に比べて顕著に高かった。

7-6-2-30図 飲酒下・薬物乱用下での交通犯罪の経験の有無別構成比(態様別,初入者・再入者別)
7-6-2-30図 飲酒下・薬物乱用下での交通犯罪の経験の有無別構成比(態様別,初入者・再入者別)
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(5)覚醒剤使用の引き金

覚醒剤を使用したくなった場面(重複計上による。調査項目及び男女別の割合は7-6-2-18図参照)を見ると,初入者・再入者共に,「クスリ仲間と会ったとき」(初入者53.6%(97人),再入者59.7%(309人))の割合が最も高く,次いで,「クスリ仲間から連絡がきたとき」(初入者46.4%(84人),再入者(52.5%(272人))の順であった。割合の高い項目は,初入者・再入者間でおおむね似通っていたが,再入者と比べて初入者の方が顕著に高かった項目は,「テレビに映った薬物の映像やニュースを見たとき」(初入者26.5%(48人),再入者17.0%(88人)),「パイプを見たとき」(初入者15.5%(28人),再入者5.0%(26人))及び「クラブイベントに行くとき」(初入者12.7%(23人),再入者5.0%(26人))であり,再入者の方が顕著に高かった項目は,「セックスをするとき」(初入者32.6%(59人),再入者41.5%(215人))及び「恋人や特定のパートナーと一緒にいるとき」(初入者18.8%(34人),再入者27.8%(144人))であった。

また,覚醒剤を使用したくなったときの感情等(重複計上による。調査項目及び男女別の割合は7-6-2-19図参照)を見ると,初入者・再入者共に,「イライラするとき」(初入者43.6%(79人),再入者52.3%(271人))の割合が最も高く,次いで,「気持ちが落ち込んでいるとき」(初入者39.8%(72人),再入者33.8%(175人))の順であった。割合の高い項目は,初入者・再入者間でおおむね似通っていたが,再入者と比べて初入者の方が顕著に高かった項目は,「気持ちがソワソワしているとき」(初入者21.0%(38人),再入者13.1%(68人)),「気合いを入れたいとき」(初入者19.9%(36人),再入者12.5%(65人)),「プレッシャーをかけられたとき」(初入者13.8%(25人),再入者8.1%(42人))及び「頭がボーっとしているとき」(初入者12.7%(23人),再入者7.5%(39人))であり,再入者の方が顕著に高かった項目は,前記「イライラするとき」であった。

(6)覚醒剤使用に対する認識

7-6-2-31図は,覚醒剤使用による本人のメリット(重複計上による。)を,初入者・再入者別に見たものである。

初入者では,「集中力が増す」(51.4%)の割合が最も高く,次いで,「性的な快感や興奮を得られる」・「ゆううつな気分や不安を忘れることができる」(いずれも45.3%),「疲れがとれる」(44.2%)の順であった。

再入者では,「性的な快感や興奮を得られる」(53.5%)の割合が最も高く,次いで,「ゆううつな気分や不安を忘れることができる」・「疲れがとれる」(いずれも44.2%),「集中力が増す」(43.1%)の順であった。

そのほか,「自分に対して自信を持つことができる」(初入者19.3%,再入者10.4%)及び「人見知りせずに人とうまく話せるようになる」(初入者9.9%,再入者5.0%)については,割合はさほど高くないものの,初入者・再入者間で顕著な差が見られた。

7-6-2-31図 覚醒剤使用による本人のメリット(初入者・再入者別)
7-6-2-31図 覚醒剤使用による本人のメリット(初入者・再入者別)
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7-6-2-32図は,覚醒剤使用による本人のデメリット(重複計上による。)を,初入者・再入者別に見たものである。

初入者・再入者共に,「逮捕されて刑務所に入ることになった」が9割を超えて最も高く,次いで,「周囲からの信頼を失った」(初入者61.9%,再入者71.0%),「家族との人間関係が悪化した」(初入者54.7%,再入者65.3%)の順であったが,これら周囲との関係についての2項目は,再入者の方が顕著に高かった。

このほか,「交際相手との人間関係が悪化した」(初入者34.8%,再入者43.4%)及び「幻覚(幻視・幻聴)に苦しむようになった」(初入者8.3%,再入者14.7%)についても,初入者と比べて再入者の方が顕著に高かった。

7-6-2-32図 覚醒剤使用による本人のデメリット(初入者・再入者別)
7-6-2-32図 覚醒剤使用による本人のデメリット(初入者・再入者別)
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(7)断薬状況

覚醒剤の断薬努力経験がある者(不詳の者を除く。)は,初入者71.7%(124人),再入者74.5%(374人),断薬経験がある者(不詳の者を除く。)は,初入者80.2%(130人),再入者83.0%(401人)で,初入者・再入者の割合はいずれも同程度であった。

7-6-2-33図は,覚醒剤の断薬経験がある者について,覚醒剤を断薬した理由(重複計上による。)を初入者・再入者別に見たものである。

初入者・再入者共に,「大事な人を裏切りたくなかった」が5割を超えて最も高く,次いで,初入者では,「周りに覚せい剤をすすめる人がいなかった」(47.7%),「逮捕されたり受刑したりするのは嫌だという思いがあった」(45.4%)の順であり,再入者では,「逮捕されたり受刑したりするのは嫌だという思いがあった」(55.4%),「仕事がうまくいっていた」(44.4%)の順であった。

また,「家族や交際相手などの大事な人が理解・協力してくれた」では,初入者(32.3%)と再入者(43.4%)の割合の差が11.1ptと顕著であった。

7-6-2-33図 覚醒剤を断薬した理由(初入者・再入者別)
7-6-2-33図 覚醒剤を断薬した理由(初入者・再入者別)
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(8)疾患・その他の問題等との関連
ア 感染症

感染症の診断歴(不詳の者を除く。)について見ると,C型肝炎では初入者の28.9%(50人),再入者の52.1%(253人)に診断歴があり,再入者の割合が顕著に高かった。また,クラミジアでは初入者の16.2%(28人),再入者の8.2%(40人),淋菌感染症では初入者の8.7%(15人),再入者の7.4%(36人),梅毒では初入者の2.3%(4人),再入者の1.2%(6人),HIV感染症では初入者の1.7%(3人),再入者の0.2%(1人)に診断歴があった。

イ アルコール・ギャンブルの問題

AUDIT得点による問題飲酒群は,初入者38.0%(60人),再入者39.8%(171人)で,その割合は同程度であった(飲酒経験がある者に限り,AUDIT合計得点が不詳の者を除く。)。また,ギャンブル依存が疑われる者は,初入者47.2%(51人),再入者44.2%(125人)で,同様に同程度の割合であった(ギャンブル経験がある者に限り,SOGS合計得点が不詳の者を除く。)。アルコール・ギャンブルの問題については,本章第1節2項(2)及び(3)参照。

(9)関係機関の支援についての経験・意識

7-6-2-34図は,各関係機関の利用状況別構成比を,初入者・再入者別に見たものである。

支援を受けたことがある者の割合が最も高い関係機関は,初入者・再入者共に専門病院であり,次いで,自助グループ,回復支援施設,保健機関の順であった。他方,初入者は,関係機関について「存在を知らなかった」の割合が顕著に高く,その割合は保健機関では5割を超え,自助グループでは約4割であった。再入者は,いずれの関係機関についても,「存在は知っていたが,支援を受けたことはない」が約6~8割であった。

7-6-2-34図 関係機関の利用状況別構成比(関係機関別,初入者・再入者別)
7-6-2-34図 関係機関の利用状況別構成比(関係機関別,初入者・再入者別)
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7-6-2-35図は,各関係機関の存在は知っていたが支援を受けたことがない者について,その理由(重複計上による。)を初入者・再入者別に見たものである。

いずれの関係機関においても,理由として多く選択された上位3項目は,「支援を受けなくても自分の力でやめられると思った」,「支援を受けられる場所や連絡先を知らなかった」及び「支援を受けて何をするのかよくわからなかった」であった。

初入者・再入者間の差が最も見られたのは回復支援施設であり,初入者は「支援を受けて何をするのかよくわからなかった」の割合が再入者より顕著に高く,再入者は「支援を受けてもやめられないと思った」の割合が初入者より顕著に高かった。

なお,いずれの関係機関においても,初入者・再入者共に,「やめる気がなかった」を選択した者が一定数いた。

7-6-2-35図 関係機関の支援を受けたことがない理由(関係機関別,初入者・再入者別)
7-6-2-35図 関係機関の支援を受けたことがない理由(関係機関別,初入者・再入者別)
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7-6-2-36図は,各関係機関から受ける支援への良いイメージ(重複計上による。)を,初入者・再入者別に見たものである。

専門病院及び保健機関では,「薬物をやめるための具体的な方法を知ることができる」,「人間関係などの悩みを相談でき,精神的に楽になる」等,専門的な助言・支援を期待する項目が上位であり,回復支援施設及び自助グループでは,「薬物をやめるために一緒にがんばれる仲間ができる」,「自分のことを理解してくれる支援者と出会える」等,仲間や支援者の獲得を期待する項目が上位であった。なお,保健機関は,他の関係機関に比べ,良いイメージとして選択された割合が全般に低かった。

初入者・再入者間の差が最も見られたのは自助グループであり,再入者は「薬物をやめるための具体的な方法を知ることができる」の割合が初入者より顕著に高かった。

また,各関係機関の支援を受けたことがある者と受けたことがない者(「存在は知っていたが,支援を受けたことはない」又は「存在を知らなかった」と回答した者)の別に見ると,全体として,支援を受けたことがある者の方が,良いイメージとして選択した割合が顕著に高い項目が多かった。

7-6-2-36図 関係機関から受ける支援への良いイメージ(関係機関別,初入者・再入者別)
7-6-2-36図 関係機関から受ける支援への良いイメージ(関係機関別,初入者・再入者別)
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7-6-2-37図は,各関係機関から受ける支援への悪いイメージ(重複計上による。)を,初入者・再入者別に見たものである。

いずれの関係機関においても,「お金がかかる」,「時間がかかる」といった経済的・時間的な負担を懸念する項目が上位5位以内に位置していた。そのほか,専門病院及び保健機関では,「薬物を再び使ってしまった場合,通報(逮捕)される」,「入院や入所を強引に勧められる」,回復支援施設及び自助グループでは,「薬物仲間(他の覚せい剤使用者,売人)や新しい誘惑が増える」,「薬物のことを思い出し,かえってやりたくなる」,「同じ支援を受ける周りの人との人間関係が面倒くさい」等が上位であった。ここでも,保健機関は,他の関係機関に比べ,悪いイメージとして選択された割合が全般に低かった。

初入者・再入者間の差がある項目が多かったのは回復支援施設及び自助グループであり,回復支援施設では,再入者は初入者と比べ,「規則や守りごとが多く,自分の自由が奪われる」,「薬物を再び使ってしまった場合,支援を受けるのが気まずくなる」及び「内容が退屈だったり,役に立たなかったりする」の割合が顕著に高かった。また,自助グループでは,再入者は初入者と比べ,「薬物仲間(他の覚せい剤使用者,売人)や新しい誘惑が増える」,「規則や守りごとが多く,自分の自由が奪われる」,「内容が退屈だったり,役に立たなかったりする」,「自分が話したことで,あれこれ口を出され,わずらわしい思いをする」及び「薬物を再び使ってしまった場合,通報(逮捕)される」の割合が顕著に高かった。

なお,各関係機関の支援を受けたことがある者と受けたことがない者(「存在は知っていたが,支援を受けたことはない」又は「存在を知らなかった」と回答した者)の別に見ると,全体として,支援を受けたことがない者の方が,「お金がかかる」等の項目を悪いイメージとして選択した割合が顕著に高い傾向にあった。特に自助グループでは,「規則や守りごとが多く,自分の自由が奪われる」,「自分が話したことで,あれこれ口を出され,わずらわしい思いをする」,「薬物を再び使ってしまった場合,通報(逮捕)される」等の項目でも,その傾向が顕著に見られた。

7-6-2-37図 関係機関から受ける支援への悪いイメージ(関係機関別,初入者・再入者別)
7-6-2-37図 関係機関から受ける支援への悪いイメージ(関係機関別,初入者・再入者別)
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7-6-2-38図は,今回出所して社会に戻ったとき,どのような状況であれば各関係機関の支援を受ける気になると思うかについて調査した結果(重複計上による。)を,初入者・再入者別に見たものである。

いずれの関係機関においても,初入者・再入者共に,「自分の力ではやめられないと感じれば」,「家族や交際相手などの大事な人が理解・協力してくれれば」,「刑務所や保護観察所等から具体的な場所や連絡先などを教えてもらえれば」等が上位であった。そのほか,「刑務所の中で,プログラムやグループを体験したり体験者から詳しい話を聞ければ」については,回復支援施設及び自助グループにおいて割合が高く,専門病院及び保健機関においても,再入者と比べて初入者の割合が顕著に高かった。

7-6-2-38図 関係機関の支援を受ける気になる状況(関係機関別,初入者・再入者別)
7-6-2-38図 関係機関の支援を受ける気になる状況(関係機関別,初入者・再入者別)
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