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令和2年版 犯罪白書 第7編/第4章/第1節/1

第1節 薬物犯罪の動向等
1 検挙・取締り
(1)検挙
ア 罪名別
(ア)総説

覚醒剤取締法,大麻取締法,麻薬取締法及びあへん法の各違反(以下特に断らない限り,この項において,それぞれ覚醒剤,大麻,麻薬・向精神薬及びあへんに係る麻薬特例法違反を含む。なお,覚醒剤取締法,大麻取締法,麻薬取締法,あへん法及び麻薬特例法については,本編第3章第1節ないし第4節及び第7節参照)の検挙人員(特別司法警察員が検挙した者を含む。以下(ア)において同じ。)の総数は,平成12年には2万人を超えていたが,13年以降減少傾向を示した後,27年からは1万4,000人前後で推移しており,令和元年は1万3,860人(前年比3.2%減)であった(7-4-1-1図CD-ROM参照)。

7-4-1-1図は,主な薬物犯罪の検挙人員の罪名別構成比の推移(最近20年間)を見たものである。覚醒剤取締法違反の検挙人員の減少傾向と大麻取締法違反の検挙人員の増加傾向を反映して,覚醒剤取締法違反の構成比は,平成12・13年の約90%から令和元年の63.0%(前年比7.0pt低下)にまで低下する一方,大麻取締法違反の構成比は,平成12~14年の10%未満から令和元年の33.0%(同6.7pt上昇)にまで上昇した。

7-4-1-1図 薬物犯罪 検挙人員の罪名別構成比の推移
7-4-1-1図 薬物犯罪 検挙人員の罪名別構成比の推移
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(イ)覚醒剤取締法違反

覚醒剤取締法違反の検挙人員(特別司法警察員が検挙した者を含む。)の推移(同法が施行された昭和26年以降)は,7-4-1-2図のとおりである。昭和期から見てみると,まず,29年(5万5,664人)に最初のピークを迎えたが,罰則の強化や徹底した検挙等により著しく減少し,32年から44年までは毎年1,000人を下回っていた。その後,45年から増加傾向となり,59年には31年以降最多となる2万4,372人を記録した。60年からは減少傾向となったが,平成6年(1万4,896人)まで小さく増減を繰り返した後,7年から増加に転じ,9年には平成期最多の1万9,937人を記録した。13年から減少傾向にあり,18年以降おおむね横ばいで推移した後,28年から毎年減少し続け,令和元年には8,730人(前年比13.0%減)と,昭和50年以来,44年ぶりに1万人を下回った。

7-4-1-2図 覚醒剤取締法違反 検挙人員の推移
7-4-1-2図 覚醒剤取締法違反 検挙人員の推移
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覚醒剤取締法違反の年齢層別の検挙人員(警察が検挙した者に限る。)の推移(最近20年間)は,7-4-1-3図のとおりである。20歳代の年齢層の人員は,平成13年まで全年齢層の中で最も多かったが,10年以降減少傾向にあり,令和元年(1,038人)は平成12年(7,015人)の約7分の1であった。30歳代の年齢層の人員も,14年から25年まで全年齢層の中で最も多かったが,13年以降減少傾向が続いている。40歳代の年齢層の人員は,21年から増加傾向にあり,26年以降全年齢層の中で最も多くなっているものの,28年から4年連続で減少している。50歳以上の年齢層の人員は,21年から毎年増加し,26年以降はほぼ横ばいで推移している。令和元年の同法違反の検挙人員の年齢層別構成比を見ると,40歳代の年齢層が最も多く(33.6%),次いで,50歳以上(27.1%),30歳代(26.1%),20歳代(12.1%),20歳未満(1.1%)の順であった。

7-4-1-3図 覚醒剤取締法違反 検挙人員の推移(年齢層別)
7-4-1-3図 覚醒剤取締法違反 検挙人員の推移(年齢層別)
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(ウ)大麻取締法違反等

大麻取締法,麻薬取締法及びあへん法の各違反の検挙人員(特別司法警察員が検挙した者を含む。)の推移(資料を入手し得た昭和46年以降)は,7-4-1-4図のとおりである。大麻取締法違反は,52年以降1,000人台から3,000人台で増減を繰り返し,平成9年には1,175人まで減少するなどしたが,6年(2,103人)と21年(3,087人)をピークとする波が見られた後,26年から6年連続で増加している。29年からは,昭和46年以降最多を記録し続けており,令和元年は4,570人(前年比21.5%増)と,昭和46年以降初めて4,000人を超えた。

大麻取締法違反の年齢層別の検挙人員(警察が検挙した者に限る。)の推移(最近10年間)は,7-4-1-5図のとおりである。平成22年以降,20歳代及び30歳代で全検挙人員の約7~8割を占める状況が続いているが,30歳代が近年横ばい状態で推移しているのに対し,20歳代は26年から増加し続けており,令和元年は,前年から28.2%増加し,1,950人であった。一方,20歳未満の検挙人員も平成26年から増加し続けており,令和元年は609人(前年比42.0%増)であった。

麻薬取締法違反(特別司法警察員が検挙した者を含む。)の検挙人員は,緩やかな増減を繰り返しているが,平成元年以降,200人台から600人台で推移しており,あへん法違反よりも一貫して多い。同法違反も緩やかな増減を繰り返しているが,17年以降50人未満と比較的低い水準で推移しており,令和元年(2人)は,平成30年と並んで,昭和46年以降最少であった。

7-4-1-4図 大麻取締法違反等 検挙人員の推移(罪名別)
7-4-1-4図 大麻取締法違反等 検挙人員の推移(罪名別)
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7-4-1-5図 大麻取締法違反 検挙人員の推移(年齢層別)
7-4-1-5図 大麻取締法違反 検挙人員の推移(年齢層別)
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毒劇法違反の検挙人員(警察が検挙した者に限る。)の推移(昭和47年法律第103号による改正毒劇法が施行された昭和47年以降)は,7-4-1-6図のとおりである(同法については,本編第3章第5節参照)。同法違反の検挙人員は,50年代後半は3万人台で推移し,60年代以降も毎年2万人を超える状況が続いていたが,平成3年から9年にかけて大きく減少した。その後も減少傾向が続き,令和元年は177人(前年比21.7%減)であった。

7-4-1-6図 毒劇法違反 検挙人員の推移
7-4-1-6図 毒劇法違反 検挙人員の推移
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(エ)危険ドラッグに係る犯罪

いわゆる危険ドラッグ(規制薬物(覚醒剤,大麻,麻薬・向精神薬,あへん及びけしがらをいう。以下(エ)において同じ。)又は指定薬物(医薬品医療機器等法2条15項に規定する指定薬物をいう。以下(エ)において同じ。)に化学構造を似せて作られ,これらと同様の薬理作用を有する物品をいい,規制薬物及び指定薬物を含有しない物品であることを標ぼうしながら規制薬物又は指定薬物を含有する物品を含む。以下この項において同じ。)に係る犯罪の検挙人員(警察が検挙した者に限る。以下(エ)において同じ。)の推移(資料を入手し得た平成21年以降)を適用法令別に見ると,7-4-1-7表のとおりである(同法については,本編第3章第6節参照)。

危険ドラッグに係る犯罪の検挙人員は,平成24年に急増して以降増加を続け,27年には1,000人を超えたが,28年から減少に転じ,令和元年は前年より214人(54.0%)減少した。元年の指定薬物に係る医薬品医療機器等法違反の検挙人員は165人(前年比181人減)であるが,そのうち123人(同112人減)は指定薬物の単純所持・使用等の検挙人員(同法84条26号に規定される所持・使用・購入・譲受けに係る罪による検挙人員のうち,販売目的等の供給者側の検挙人員を除く。)であった(警察庁刑事局の資料による。)。

7-4-1-7表 危険ドラッグに係る犯罪の検挙人員の推移(適用法令別)
7-4-1-7表 危険ドラッグに係る犯罪の検挙人員の推移(適用法令別)
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令和元年における危険ドラッグ乱用者の検挙人員(危険ドラッグに係る犯罪の検挙人員のうち,危険ドラッグの販売等により検挙された供給者側の検挙人員を除いたものをいう。)は,172人であり,年齢層別では,40歳代(65人,37.8%)が最も多く,次いで,30歳代(47人,27.3%),50歳以上(32人,18.6%),20歳代(27人,15.7%), 20歳未満(1人,0.6%)の順であった。なお,危険ドラッグに係る犯罪の検挙人員が最も多かった平成27年を見ると,危険ドラッグ乱用者の検挙人員は,966人であり,年齢層別では,30歳代(330人,34.2%)が最も多く,次いで,20歳代(297人,30.7%),40歳代(236人,24.4%),50歳以上(75人,7.8%), 20歳未満(28人,2.9%)の順であった(警察庁刑事局の資料による。)。

イ 属性別
(ア)女性

7-4-1-8図は,覚醒剤取締法,大麻取締法及び麻薬取締法の各違反(それぞれ覚醒剤,大麻及び麻薬・向精神薬に係る麻薬特例法違反を含まない。)の女性検挙人員(警察が検挙した者に限る。以下(ア)において同じ。)及び女性比の推移(最近20年間)を見たものである。

覚醒剤取締法違反の女性検挙人員は,平成13年以降減少傾向にあり,令和元年(1,637人)は平成12年(3,532人)の約2分の1であった。もっとも,検挙人員の総数も同年以降減少傾向にあるため,女性比に大きな変動はなく,18~21%台で推移している。

大麻取締法違反の女性検挙人員は,平成12年以降100人台から300人台で増減を繰り返し,27年から5年連続で増加しているが,検挙人員の総数も増加しているため,女性比は,近年9%台で横ばいに推移している。

麻薬取締法違反の女性検挙人員は,平成13年から16年まで増加傾向にあったが,17年以降増減を繰り返しながらも,おおむね減少傾向にあり,21年からは100人未満で推移している。女性比は,12年以降11~23%台で上昇・低下を繰り返しているが,近年は15%前後で推移している。

7-4-1-8図 薬物犯罪 女性検挙人員・女性比の推移(罪名別)
7-4-1-8図 薬物犯罪 女性検挙人員・女性比の推移(罪名別)
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(イ)暴力団構成員等

7-4-1-9図は,覚醒剤取締法,大麻取締法及び麻薬取締法の各違反の暴力団構成員等(暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者をいう。以下(イ)において同じ。)の検挙人員(警察が検挙した者に限る。以下(イ)において同じ。)等の推移(最近10年間)を見たものである。

覚醒剤取締法違反の暴力団構成員等の検挙人員は,平成22年から24年まではほぼ横ばいであったが,同年以降毎年減少しており,令和元年(3,738人)は平成22年(6,322人)の約6割の水準であった。同法違反の検挙人員総数に占める暴力団構成員等の比率は,22年から27年までは51~55%台で推移し,同年以降低下傾向にあり,28年からは40%台で推移し,令和元年は43.5%であったが,同年の特別法犯(交通法令違反を除く。)の検挙人員総数に占める暴力団構成員等の比率9.4%(4-2-2-2図<2>参照)と比較すると顕著に高い。

大麻取締法違反の暴力団構成員等の検挙人員は,平成26年から毎年増加しているのに対し,麻薬取締法違反の暴力団構成員等の検挙人員は,同年以降減少傾向にあり,27年からは100人未満で推移している。

7-4-1-9図 薬物犯罪 暴力団構成員等検挙人員等の推移(罪名別)
7-4-1-9図 薬物犯罪 暴力団構成員等検挙人員等の推移(罪名別)
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7-4-1-10表は,令和元年に覚醒剤取締法違反により検挙された者(警察が検挙した者に限る。)のうち,営利犯で検挙された者及び暴力団構成員等の各人員を違反態様別に見たものである。同年の営利犯で検挙された者の比率は7.9%であり,暴力団構成員等の比率は43.5%であった。

7-4-1-10表 覚醒剤取締法違反 営利犯・暴力団構成員等の検挙人員(違反態様別)
7-4-1-10表 覚醒剤取締法違反 営利犯・暴力団構成員等の検挙人員(違反態様別)
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(ウ)外国人

7-4-1-11図は,覚醒剤取締法,大麻取締法及び麻薬取締法の各違反の外国人の検挙人員(警察が検挙した者に限る。以下(ウ)において同じ。)等の推移(最近10年間)を見たものである。

外国人の検挙人員を見ると,覚醒剤取締法違反は,平成22年以降500人台から700人台で推移しており,大きな変動は見られない。大麻取締法違反は,23年から25年まで減少傾向にあったが,26年以降毎年増加しており,麻薬取締法違反は,22年から28年までは100人未満で推移していたものの,29年以降は毎年100人を超えている。なお,来日外国人による薬物関係法令違反の検挙件数の推移については,4-8-2-5図参照。

各違反の検挙人員総数に占める外国人の比率を見ると,平成22年以降,覚醒剤取締法及び大麻取締法の各違反は,いずれも10%未満でおおむね横ばいで推移している。他方,麻薬取締法違反は13.0~32.0%で推移しており,年による変動はあるものの,同法違反の方が覚醒剤取締法及び大麻取締法の各違反よりも高い水準で推移している。

7-4-1-11図 薬物犯罪 外国人検挙人員等の推移(罪名別)
7-4-1-11図 薬物犯罪 外国人検挙人員等の推移(罪名別)
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覚醒剤取締法違反の外国人検挙人員(761人)を国籍・地域別に見ると,平成22年以降,韓国・朝鮮が最も多く,次いで,フィリピン,ブラジルの順であったが,令和元年は,韓国・朝鮮(158人,20.8%)が最も多く,次いで,ブラジル(111人,14.6%),フィリピン(90人,11.8%),タイ(86人,11.3%),中国(台湾,香港及びマカオを除く。38人,5.0%)の順であった。また,警察が検挙した覚醒剤の密輸入事件(覚醒剤に係る麻薬特例法違反を含まない。)について,その仕出地の内訳を見ると,同年(273件)は,タイ(56件,20.5%)が最も多く,次いで,マレーシア(37件,13.6%),米国(35件,12.8%),カナダ(34件,12.5%),トルコ(14件,5.1%)の順であった。同年の覚醒剤取締法違反の検挙人員のうち,営利犯で検挙された者(警察が検挙した者に限る。)に占める外国人検挙人員(272人)の比率は39.9%であった。また,同年の同法違反の検挙人員のうち,密輸入事犯で検挙された者(警察が検挙した者に限る。)に占める外国人検挙人員(246人)の比率は73.9%であった(警察庁刑事局の資料による。)。

令和元年における大麻取締法違反の外国人検挙人員(279人)を国籍・地域別に見ると,ブラジル(79人,28.3%)が最も多く,次いで,米国(47人,16.8%),ペルー(20人,7.2%)の順であった。また,警察が検挙した大麻の密輸入事件(大麻に係る麻薬特例法違反を含まない。)について,その仕出地の内訳を見ると,同年(89件)は,米国(38件,42.7%)が最も多く,次いで,カナダ(15件,16.9%),オランダ及びフランス(それぞれ5件,5.6%)の順であった(警察庁刑事局の資料による。)。

(2)取締状況
ア 覚醒剤等の押収量の推移

覚醒剤等の薬物の押収量(警察庁,財務省,海上保安庁及び厚生労働省がそれぞれ押収した薬物の合計量)の推移(最近20年間)は,7-4-1-12図のとおりである。いずれも年による変動が大きいが,令和元年は,覚醒剤及びコカインについて,いずれも平成元年以降最多を記録した(CD-ROM参照)。

7-4-1-12図 覚醒剤等の押収量の推移
7-4-1-12図 覚醒剤等の押収量の推移
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イ 密輸入事案
(ア)覚醒剤

覚醒剤(覚醒剤原料を含む。以下(ア)において同じ。)の密輸入事犯(税関が摘発した密輸入事犯のほか,警察等他機関が摘発した事件で税関が当該事件に関与したものを含み,関税法違反で摘発したものに限る。以下イにおいて同じ。)の摘発件数は,平成22年から30年までの間は83~185件の間で推移していたが,令和元年は425件と,前年(169件)の約2.5倍に急増した。押収量については,平成22年から27年までは1,000kg未満で推移していたが,28年に約1,501kgに急増した後は1,000kg台で推移し,令和元年は約2,570kgと,前年(約1,159kg)の約2.2倍に急増した。元年の覚醒剤の密輸入事犯を形態別に見ると,摘発件数では,「航空機旅客(航空機乗組員を含む。以下イにおいて同じ。)による密輸入」(229件)が最も多く,次いで,「航空貨物(航空での別送品を含む。以下イにおいて同じ。)を利用した密輸入」(107件),「国際郵便物を利用した密輸入」(85件),「海上貨物を利用した密輸入」及び「船員等(洋上取引及び船舶旅客を含む。以下イにおいて同じ。)による密輸入」(各2件)の順であり,「航空貨物を利用した密輸入」(前年比723.1%増),「航空機旅客による密輸入」(同151.6%増)及び「国際郵便物を利用した密輸入」(同63.5%増)の増加が顕著である。押収量では,「船員等による密輸入」(約1,605kg)が最も多く,次いで,「航空機旅客による密輸入」(約418kg),「航空貨物を利用した密輸入」(約316kg),「国際郵便物を利用した密輸入」(約187kg),「海上貨物を利用した密輸入」(約43kg)の順であった。「船員等による密輸入」の押収量は,押収量全体の約3分の2に相当する(財務省関税局の資料による。)。

令和元年における覚醒剤の密輸入事犯の摘発件数を仕出地別に見ると,地域別では,アジア(204件)が半数近くを占めて最も多く,次いで,北米(111件),ヨーロッパ(43件)の順であり,国・地域別では,タイ(87件)が最も多く,次いで,マレーシア(69件),米国(61件),カナダ(50件)の順であった(財務省関税局の資料による。)。

覚醒剤の密輸入事犯について,その押収量の推移(最近10年間)を仕出地別に見ると,7-4-1-13表のとおりである。

7-4-1-13表 覚醒剤の仕出地別押収量の推移
7-4-1-13表 覚醒剤の仕出地別押収量の推移
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(イ)大麻

大麻の密輸入事犯の摘発件数は,平成29年から増加し続けており,令和元年は241件(前年比10.6%増)であった。押収量は,年によって変動が大きく,令和元年は約78kg(同50.0%減)であった。密輸入の形態別に見ると,摘発件数では,「国際郵便物を利用した密輸入」(167件)が最も多く,次いで,「航空機旅客による密輸入」(59件),「航空貨物を利用した密輸入」(10件),「船員等による密輸入」(4件),「海上貨物を利用した密輸入」(1件)の順であった。押収量では,「国際郵便物を利用した密輸入」(約46kg)及び「航空機旅客による密輸入」(約27kg)で,押収量全体のほとんどを占めた(財務省関税局の資料による。)。

令和元年の大麻の密輸入事犯について,大麻草及び大麻樹脂等(大麻樹脂のほか,大麻リキッド・大麻菓子等の大麻製品を含む。以下(イ)において同じ。)の別に見ると,大麻草は,摘発件数110件及び押収量約61kg,大麻樹脂等は,摘発件数131件及び押収量約17kgであった。これを仕出地別に見ると,大麻草は,摘発件数では,米国(50件)が最も多く,次いで,カナダ(16件),英国(10件),オランダ(7件)の順であり,押収量では,米国(約43kg)が最も多く,次いで,カナダ(約18kg),フランス(約0.2kg),英国(約0.2kg)の順であった。大麻樹脂等は,摘発件数では,米国(79件)が最も多く,次いで,英国(11件),カナダ(7件),フランス(6件)の順であり,押収量では,インド(約9kg。摘発件数は1件)が最も多く,次いで,米国(約6kg),英国(約1kg),カナダ(約0.2kg)の順であった(財務省関税局の資料による。)。

ウ 麻薬特例法の適用

麻薬特例法違反の検挙件数及び第一審における没収・追徴金額の推移(最近10年間)は,7-4-1-14図のとおりである。検挙件数の総数は,平成26年から28年にかけて大きく増加し,令和元年は130件(前年比39.8%増)であったが,「業として行う不法輸入等」の検挙件数は平成28年以降おおむね横ばいで推移し,令和元年は16件(同4件減)であった。また,没収・追徴金額の総数は,平成22年から24年にかけて大きく減少し,その後は,2~5億円台で増減を繰り返している。

7-4-1-14図 麻薬特例法違反 検挙件数・没収・追徴金額の推移
7-4-1-14図 麻薬特例法違反 検挙件数・没収・追徴金額の推移
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エ 通信傍受の状況

7-4-1-15図は,犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(本編第3章第8節1項参照)に基づき,薬物犯罪(覚醒剤取締法,大麻取締法及び麻薬特例法の各違反に係る事件に限る。)の捜査のための通信傍受が実施された事件数及び傍受令状の発付件数の推移(最近10年間)を見たものである。令和元年は,4事件(覚醒剤取締法違反3件,麻薬特例法違反1件)について,傍受令状16件が発付され,これらの事件に関して合計36人が逮捕された(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律36条の規定に基づく政府の国会報告・公表資料による。)。

7-4-1-15図 薬物犯罪 通信傍受実施事件数・傍受令状発付件数の推移
7-4-1-15図 薬物犯罪 通信傍受実施事件数・傍受令状発付件数の推移
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