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 平成20年版 犯罪白書 第7編/第2章/第2節/1 

第2節 検察

1 既済人員

 昭和63年には,高齢者の一般刑法犯検察庁既済人員は2,712人であり,年齢不詳者を除く総既済人員中の高齢者比は0.8%であったが,平成19年には既済人員1万9,319人(20年間で1万6,607人(612.4%)増),高齢者比6.4%(同5.6ポイント上昇)と大幅に増加・上昇している。また,前記期間の既済人員の高齢人口比は,昭和63年は19.7であったものが,平成19年は70.3と約3.6倍に上昇している(検察統計年報及び総務省統計局の人口資料による。)。
 平成19年における一般刑法犯の罪名別・年齢層別検察庁既済人員は,7-2-2-1表のとおりである。

7-2-2-1表 一般刑法犯の罪名別・年齢層別検察庁既済人員

 平成19年における高齢者の一般刑法犯検挙人員が4万8,605人,総検挙人員中の高齢者比が13.3%であったのに対し(7-2-1-1図参照),検察庁既済事件の人員及びその高齢者比は,検挙人員のそれより大幅に減少・低下している。
 窃盗については,高齢者の検挙人員が3万1,573人であったのに対し(7-2-1-4表参照),検察庁既済人員は,1万289人と3分の1以下になっている。また,横領(遺失物等横領を含む。)は,高齢者の検挙人員が1万672人であったところ,既済人員は2,363人と4分の1以下となっており,暴行についても,高齢者の検挙人員が1,822人であったところ,既済人員は844人と半分以下になっている。これらの罪名で,検挙人員に比べて検察庁での既済人員が大幅に少なくなっているのは,窃盗の検挙人員の9割以上を万引きその他の非侵入窃盗が占め,横領の検挙人員のほとんどは遺失物等横領であったことなどを勘案すれば,いずれも犯罪の軽微性から,警察で微罪処分に付され,検察庁には事件が送致されないものが多いことなどによるものと推認される。
 高齢者の罪名別検察庁既済人員及びその各既済人員に占める高齢者比の推移(最近20年間)は,7-2-2-2図のとおりである。

7-2-2-2図 高齢者の罪名別検察庁既済人員・高齢者比の推移

 高齢者の検察庁既済人員は,主要罪名のほとんどについて増加しており,高齢者比も上昇している。
 また,銃刀法違反と覚せい剤取締法違反についても,高齢者の検察庁既済人員に増加傾向が見られ,高齢者比も年々上昇している。特に,銃刀法違反は高齢者比が高く,平成19年には11.4%に達している。