前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第8章/第2節/2 

2 日本人の国外における犯罪

 (1)日本人が加害者となった犯罪の状況
 日本人が国外において犯罪の加害者となった状況について,在外公館が邦人保護事務を通して把握した範囲で見た,最近7年間の推移は,IV-45図のとおりである。

IV-45図 日本人の国外における犯罪加害状況の推移

 平成4年度(会計年度)における犯罪類型別に見た事件数は,IV-46図のとおりである。最も多いのは「外為法・関税法」関係の事件であるが,その8割以上を韓国での外為法違反事件が占めている。「旅券・査証」関係の事件は,ほとんどが不法滞在・不法就労である。また,総件数205件中の117件(57.1%)は,アジア・中近東地域において敢行されたものである。

IV-46図 日本人の国外における犯罪

 (2)海外における日本人被拘禁者
 日本人が海外で犯罪を犯した疑いにより逮捕・勾留され,また,有罪判決を受けて服役するなどして,海外の関係当局の施設に拘禁されることがある。このような場合,在外公館では,これら被拘禁者に対し,邦人保護事務の一環として,その事実関係の把握と必要な援助を行っているが,犯罪の嫌疑を受けて逮捕されても,その者が在外公館に連絡することを望まなければ在外公館に通報しない国もあるため,日本人の被拘禁者の数や犯罪内容を正確に把握することは困難である。
 IV-30表は,このような制約のあることを前提として,平成6年1月1日現在の国外における日本人被拘禁者数を地域別に見たものである。

IV-30表 国外における日本人被拘禁者数

 未決拘禁者30人を罪名別に見ると,最も多いのが麻薬関連犯罪の19人で,次いで,詐欺・窃盗が6人,殺人・同未遂が2人である。
 受刑者23人の罪名・刑期は,IV-31表のとおりである。
 これら被拘禁者を年齢層別に見ると,30歳代が23人で全体の約43%を占め,次いで,40歳代が14人などとなっている。女子は4人である。

IV-31表 国外における日本人受刑者数

 なお,麻薬関連事犯を見ると,未決拘禁者及び受刑者については総数53人中32人を占め,また,10年以上の刑に処されている受刑者については総数11人中5人を占めている。