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 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第8章/第2節/1 

第2節 日本人の国外における犯罪と被害

1 日本人の出国及び海外在留の動向

 (1)日本人の出国
 IV-43図は,最近10年間における日本人の出国者数の推移を示したものである。日本人の出国数は,湾岸戦争のあった年を除き,一貫して増加し続けけている。平成5年の出国者数は1,193万3,620人で,過去最高であった前年と比べ14万2,921人(1.2%)増加し,最高記録を更新した。5年前である昭和63年と比べると,その1.4倍,10年前である58年と比べると,その2.8倍となっている。

IV-43図 日本人出国者数の推移

 法務省入国管理局の資料に基づき,平成5年の出国者を渡航先別に見ると,アジア州が全体の45.4%を占め,次いで,北アメリカ州が32.0%,ヨーロッパ州が12.0%,オセアニア州が9.8%などとなっている。これを国・地域別に見ると,アメリカ(ハワイ,グアムを含む。)が356万3,028人で全体の29.9%を占めて最も多く,以下,韓国(11.8%),香港(7.3%),中国(5.7%),台湾,オーストラリア,シンガポールなどの順となっている。また,渡航目的別に見ると,「観光等」とするものが全体の83.4%を占めて最も多く,次いで,「短期商用・業務」が12.6%,「留学・研修・技術習得」(以下「留学等」という。)の1.1%などとなっている。近年,留学等を目的として渡航する者が増加してきている。
 なお,平成5年の出国者総数に占める男女別構成比については,男子56.6%,女子43.4%となっている。男子出国者は前年より1.7%減少したが,女子出国者は5.3%増加している。特に,15歳から29歳の年齢層については女子が男子より多く,その中で,20歳から24歳の年齢層の女子は同年齢層男子の2倍強となっており,出国者全体との関係でもその8.8%を占めている。
 (2)日本人の海外在留
 海外在留の日本人のうち,在留国の永住権を得ている「永住者」及び3か月以上滞在している「長期滞在者」(以下,合わせて「在留邦人」という。)の推移を見ると,IV-44図のとおりである。長期滞在者については,ここ数年,前年に比べ10%前後増加する傾向が続いたが,平成4年は3.1%の増加にとどまった。
 平成4年について,国・地域別に在留邦人数を見ると,最も多いのはアメリカの25万5,683人で,総数の37.6%を占め,うち,カリフォルニア州が26.0%である。次いで,ブラジル9万7,577人,連合王国5万4,415人であり,以下,カナダ,ドイツ,オーストラリアが2万人台,タイ,フランス,シンガポール,香港,アルゼンティンが1万人台で続いている。

IV-44図 在留邦人数の推移