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 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第10章/第7節/1 

第7節 韓  国

1 外国人の入国・在留の動向及びその背景

 韓国では,従来から在留外国人が少ないが,近年,在留外国人数は増加している。
 IV-60表は,1988年から1992年までの間における韓国の総人口及び国籍別外国人人口の推移を見たものである。1992年において韓国に在留する外国人約5万5,000人で,総人口約4,366万人に対する外国人比率は0.13%である。これは,ヨーロッパ諸国やアメリカにおける外国人数や外国人の比率に比してかなり低い数字である。

IV-60表 総人口及び国籍別外国人人口

 韓国法務部の統計等によって,外国人の国籍別構成比を見ると,中国・台湾が43.0%,アメリカが30.1%,日本が10.8%となっている。中国・台湾が大きな割合を占めるのは,19世紀末ころから流入した華僑が定住したためで,在留中国・台湾籍人口の多数は,こうした定住者によって占められている。
 なお,韓国は,出生による国籍取得につき,原則として父系の血統主義を採っている。
 韓国では1960年代以降の高度経済成長,1987年以降の急激な賃金上昇及び労働力不足に伴い,近年,不法に在留する外国人が増加した。
 韓国の犯罪白書によれば,韓国法務部が1992年中に52日間にわたって設定した不法在留についての自主申告期間において,不法在留を申告してきた外国人は,32か国,6万1,126人に上り,国籍別では,多い順に中国・台湾,フィリピン,バングラデシュ,ネパール,パキスタンであった。