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 平成 6年版 犯罪白書 第4編/第10章/第7節/2 

2 外国人による犯罪とその刑事処分の動向

 IV-52図は,1989年から1992年までの間に,出入国管理法違反を犯した外国人の国籍別検挙人員の推移を見たものである。検挙人員総数は1991年以降急増し,1992年(6万7,132人)には,1989年(6,068人)の11.1倍になっている。検挙人員の変化を国籍別に見ると,中国・台湾,フィリピン,バングラデシュ,ネパールの急増ぶりが目立つ。中国・台湾籍の大部分は,中国から入国した中国在住の韓国・朝鮮民族である。

IV-52図 国籍別出入国管理法違反検挙人員

 IV-61表は,1984年から1992年までの,検察庁処理人員総数,外国人被疑者処理人員(内数)及び総数に占める外国人被疑者の比率を見たものである。外国人被疑者についての検察庁処理人員は,1992年が最も多くなっているが,1984年がこれに次いで多く,検察庁で取り扱う外国人犯罪が増加傾向にあるとは必ずしも言えない。1992年における韓国人と外国人を合わせた検察庁処理人員の総数は157万9,797人で,うち外国人は2,158人にすぎず,外国人比率は,わずか0.14%となっている。韓国においては,そもそも在留外国人数が少ない上,出入国管理法違反は,出入国管理官署が取り扱い,その多くが処分免除又は通告処分によって処理されるため,検察庁で取り扱う数が少なく,そのため,検察庁処理人員で見た外国人犯罪者の総数が一層少なくなっている。

IV-61表 外国人被疑者についての検察庁処理人員

IV-62表 罪名別外国人被疑者についての検察庁処理人員

 IV-62表は,1992年における,罪名別の検察庁処理人員総数,外国人被疑者処理人員(内数)及び外国人被疑者の比率を見たものである。外国人の比率が目立って高いのは,外国為替管理法違反,関税法違反であり,次いで,強盗,窃盗となっている。
 IV-63表は,1984年から1992年までの間に,第一審裁判所において公判審理された外国人事件について,その処理内容別の人員を見たものである。1992年が219人と最も多いが,1986年が185人でこれに次いでおり,裁判段階においても,外国人事件が増加しているとは必ずしも言えないようである。1992年に執行猶予付自由刑の言渡しが多かったのが目立っている。

IV-63表,外国人による犯罪の第一審公判事件処理人員