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 平成 5年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節/1 

第2章 暴力団犯罪

第1節 概  説

1 暴力団対策法

 暴力追放の幅広い国民世論と厳しい取締りにもかかわらず,暴力団は,依然として根強くその勢力を維持し,市民生活に大きな不安を与え続けており,暴力団対策は当面の重要な課題であるところ,「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(平成3年法律77号),いわゆる暴力団対策法が平成3年5月15日に公布,4年3月1田に施行され,これを機に,暴力団を社会から追放しようという様々な活動が活発化し,その結果,解散又は消滅した暴力団や組織を離脱した者が少なくない。
 警察庁刑事局の資料によると,平成4年3月1日の暴力団対策法の施行後,4年中に,山口組,稲川会及び住吉会の警察庁重点対象暴力団をはじめとする15団体が,暴力団対策法の規定に基づき指定暴力団として指定された。
 平成4年の暴力的要求行為に対する中止命令の数は,241件である。これを形態別に見ると,脱退妨害・加入強要行為に対するものが127件と最も多く全件数の52.7%を占め,伝統的な資金源活動であるみかじめ・用心棒料要求行為に対するものが60件となっている。団体別では,山口組に対するものが145件と全件数の60.2%を占めている。なお,再発防止命令の発出状況は,7件となっている。
 暴力団の解散・壊滅は,平成2年には80組織(1,131人),3年には131組織(1,430人),4年には158組織(2,051人)と急増しており,暴力団対策法の施行後,暴力団の組織に,これまでにない動揺があったことが分かる。
 民間の暴力団排除活動の核となる暴力追放運動推進センターには,平成4年中に,6,664件の相談が寄せられた。