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 昭和60年版 犯罪白書 第4編/第3章/第3節/1 

1 処遇後3年以内の再犯状況

 IV-44表は,法務総合研究所の調査(前記第2章第1節及び第2節1参照)のうち,覚せい剤事犯者の再犯状況を示したものである。まず,再犯率について見ると,仮釈放者が55.7%,満期釈放者が52.4%,起訴猶予者が48.1%,保護観察付執行猶予者が43.0%,単純執行猶予者が33.9%と,いずれもかなりの高率を示している。このうち,単純執行猶予者と保護観察付執行猶予者の再犯率が比較的低い。
 一方,収容処遇を受けた者は,同一再犯に陥る比率も高く,暴力団構成員との交わりや覚せい剤志向の強さなどが,再犯の主要な原因となっていることが推測される。
 なお,覚せい剤事犯者の起訴率は後述のとおり,いずれの年次においても90%に近く,同事犯の起訴猶予は特別な理由に基づく例外的な運用と考えられるが,その起訴猶予者の再犯率も収容処遇を受けた者に次いで高いことば注目される。

IV-44表 覚せい剤事犯者の昭和55年の処分別再犯状況

 次に,再犯期間及び再犯罪名について見る。既に第2章でも一部述べたが,再犯期間については,起訴猶予を除いて,いずれの処分においても2年以内に再犯に陥る者が,大部分を占めている。また,再犯罪名については,同一罪名の再犯の比率がいずれの処分においても高く,特に収容処遇を受けた者にその傾向が強くなっている。