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 昭和59年版 犯罪白書 第4編/第2章/第1節 

第2章 非行少年の処遇

第1節 概  説

 本章では,警察等の捜査機関(以下「警察等」という。)や一般人によって検挙・発見された非行少年が,その後,検察,裁判,矯正及び更生保護の各段階で受ける処遇の実情を紹介するが,本節で,その処遇の流れをIV-8図によって概説しておく。
 警察等は,犯罪少年を検挙した場合,事件を検察官に送致しなければならないが,法律上,罰金,拘留又は科料の刑のみが定められている罪の場合には,直接家庭裁判所に送致する。
 犯罪少年の事件の送致を受けた検察官は,捜査を遂げた上,処遇意見を付けて,事件を家庭裁判所に送致する。
 その他の非行少年については,これを発見した者が,家庭裁判所若しくは児童相談所に通告しなければならないこととされている。
 家庭裁判所では,まず,少年に関する調査を実施するが,調査及び審判等に活用するため,少年を少年鑑別所に送致し,資質鑑別を求めることもある。調査若しくは審判の後,検察官送致,知事又は児童相談所長送致(18歳未満の少年に限る。),審判不開始,不処分,保護観察,教護院・養護施設送致,少年院送致等の決定がなされる。
 検察官送致は,刑事処分を相当として事件を検察官に送致する処分で,逆送とも呼ばれているが,検察官は,逆送事件については,原則として起訴することとなっている。起訴された少年に対するその後の処遇の流れは,成人の場合と同様であるが,犯行時18歳未満の者に対する死刑及び無期刑の緩和,懲役及び禁錮に関する不定期刑(長期と短期を定める。)の採用,成人と区別された少年刑務所での処遇等が定められている。

IV-8図 非行少年処遇の流れ

 少年院送致となった少年は,初等,中等,特別及び医療の4種類のいずれかの少年院に収容されるが,仮退院を許可されると保護観察に付される。