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 昭和59年版 犯罪白書 第4編/第1章/第2節/7 

7 学校と非行

 学校は,少年にとって,家庭とともに最も身近な生活環境であり,少年非行との関連も重視されてきたところであるが,近年,その学校内における暴力事犯の多発が重大な関心の的となっている。
 IV-13表は,昭和41年以降における交通関係業過を除く少年刑法犯について,中学生,高校生別検挙人員と,その在校生総数に対する比率を見たものである。41年以降,中学生,高校生共に,検挙人員は激増しているが,58年について見ると,中学生の検挙人員は,前年より4,266人(3.3%)増加し,高校生は減少している。

IV-13表 少年刑法犯学生・生徒別検挙人員及びその在学生に対する比率(昭和41年,50年,55年〜58年)

IV-14表 学校内暴力事件の検挙状況(昭和54年〜58年)

 IV-14表は,最近5年間における学校内暴力事件の検挙状況を見たものである。昭和58年について見ると,検挙件数は2,125件で,前年より164件(8.4%)増加し,また,検挙人員の総数は8,751人で,前年より153人(1.7%)減少している。検挙人員の内訳は,中学生が圧倒的多数を占め,高校生による事件は大幅に減少している。校内暴力の内容について,58年度における文部省の全国公立中学校及び公立高等学校に対する形態別の調査によると,教師に対する暴力事件は615校の中学校で1,139件,80校の高等学校で131件発生しており,器物等損壊事件は,中学校で267校(損害額2,666万円),高等学校で27校(同89万円)の発生が報告されている。このように校内暴力が,特に,中学校に多発している状況に対しては,今後とも十分な注意を払う必要があろう。