前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和36年版 犯罪白書 第二編/第四章/一/1 

第四章 仮釈放

一 仮釈放制度

1 仮釈放の意味と種別

 仮釈放は,犯罪を犯したため矯正施設に収容されている者を,個別審査のうえで,収容期間の満了前に拘束を解き,社会生活に入らせる措置である。現在の犯罪対策は,犯罪者を社会的人間として更生させるのが主眼であるから,できるだけ拘禁を避ける方向に進んでいる。むろん,犯罪者はいろいろであるから,すべて拘禁を避けるというわけには行かないが,必要があって拘禁に付された者も,その必要がみたされたならば,できるだけ早く社会に円滑に復帰させて,社会のなかで更生をさせようというのが,現代の犯罪対策の原則である。したがって,拘禁中は更生の準備をさせる趣旨で矯正につとめ,適当な時期が来れば,仮釈放という特別な方式で社会に復帰させることになっている。
 仮釈放は,一定の処分に基づいて行なわれるもので,その処分は,(1)懲役・禁錮の受刑者については仮出獄,(2)少年院または婦人補導院の在院者については仮退院,(3)拘留刑で拘留場にいる者と罰金刑で労役場に留置されている者とについては仮出場,という名がつけられている。これらの処分に基づいて行なわれる釈放が,仮釈放である。
 昭和三〇年以降の仮釈放人員はV-1表のとおりで,毎年四万人前後である。種別をみると,その大部分は仮出獄で,昭和三四年では仮出獄人員は仮釈放総人員の約八〇・六%を占めている。次は少年院の仮退院の約一九・〇%である。婦人補導院の仮退院と仮出場とは,数量的にはほとんど問題にならない。

V-1表 仮釈放種類別人員(昭和30〜34年)