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 昭和53年版 犯罪白書 第1編/第2章/第2節/1 

第2節 過激派集団の犯罪

1 概  況

 過激派集団による犯罪が多発し重大視されるようになったのは,最近では,昭和42年の第1次羽田事件の前後からであるが,それ以来,過激派各派は,数多くの暴力犯罪を繰り返し,検挙と処罰にもかかわらず,一部の勢力は今なお衰えを見せず,ますます過激化し,凶悪化する傾向さえ示している。これらは,最近,国内において,いわゆる新東京国際空港反対闘争,狭山裁判粉砕闘争等をめぐり,対権力闘争を指向し,火炎びんや時限式発火装置を用いて空港・警察関係施設や裁判所庁舎,矯正関係施設等に対し,放火等を繰り返すなどしており,また,爆弾闘争を目指す一部過激派は依然として陰険な爆発物使用事犯を発生させ,社会一般に重大な不安を与えている。
 更に,各派相互間の対立抗争事犯も跡を絶たず,個人に対するゲリラ的・テロ的行為は一層その計画性と凶暴性を強めている。他方,国外における日本赤軍を中心とする過激派も,ハイジャック等の重大犯罪を行っており,その今後の動向には,厳重な警戒を要する。