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 昭和53年版 犯罪白書 第1編/第2章/第2節/2 

2 内ゲバ事犯

 昭和45年から52年までの過激派各派による組織間の対立抗争に基因する暴力事犯(以下「内ゲバ事犯」という。)の発生及び検挙状況を見ると,I-35表のとおりである。52年の発生件数は,前年に比べて50件減少して41件となっており,また,52年の内ゲバ事犯による死傷者数も,前年に比べて139人減少して56人(うち,死亡者10人)となっている。

I-35表 内ゲバ事犯発生・検挙状況(昭和45年〜52年)

 最近の内ゲバ事犯の発生件数は減少傾向にあるが,犯行はこれまで以上に計画性と凶暴性を強めており,そのため,昭和52年では,内ゲバ事犯の発生件数が比較的少なかったにもかかわらず,これによる死亡者数は死傷人員中の約18%を占める10人を数えた。このような傾向は最近まで続いており,53年1月27日には,茨城県の水戸市及び勝田市において,茨城大学革マル派学生活動家の居宅等4箇所を同時に襲撃し,窓ガラス,出入口等を破壊して室内に侵入し,就寝中の被害者らの頭部その他を鈍器等で殴打して3人を殺害し,3人に重軽傷を負わせるという凶暴な事犯の発生を見るに至っている。
 次に,内ゲバ事犯の検察庁における受理・処理状況を見ると,昭和52年の受理人員は63人,これに対する処理人員は45人となっており,起訴率(起訴及び不起訴人員中に占める起訴人員の比率)は59.1%と,最近5年間で最も高率となっている。