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 昭和46年版 犯罪白書 第三編/第一章/六 

六 少年刑務所

 少年受刑者の処遇について,少年法ならびに監獄法令は,収容場所の特設主義を掲げている。すなわち,懲役または禁錮の言渡しを受けた少年(一六歳以上二〇歳未満)に対しては,特に設けた監獄(少年刑務所)または監獄内の特に分界を設けた場所(成人刑務所の少年区)において,その刑を執行し,その処遇にあたっては,とくに教育訓練に重きをおくため,特別の措置をなすべきことを規定している。このことは,少年受刑者は,心身の被影響性および教育可能性が大きいことから,成人受刑者と分離し,それから受ける悪影響を防止し,さらには,少年に対する教育,訓練の徹底を図る趣旨によるものである。
 なお,少年受刑者が二〇歳に達したときも,直ちに成人刑務所に移すことは,それまで継続してきた少年に対する特別処遇の効果をそこなうおそれがあるので,その者の心身の状況などによって,そこでの処遇を適当と認めた場合には,最高二六歳に達するまで,少年刑務所における刑の執行を継続することが許されている。
 少年受刑者を収容する少年刑務所としては,昭和四五年一二月末日現在,川越,水戸,松本,奈良,姫路,岩国,佐賀,盛岡,函館の九施設があるが,これらは,いずれも男子少年のためのもので,女子少年は,女子の成人刑務所の特に分界された少年区に収容されている。しかし,最近における少年受刑者の減少に伴い,少年に準じて処遇することが望ましいと判定された若年受刑者もあわせて収容している現状である。