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 昭和35年版 犯罪白書 第三編/第二章/一/1 

第二章 犯罪者の矯正

一 刑務所内の処遇

1 刑務所の収容状況

 刑務所の収容者には,受刑者のほか,被告人,被疑者といった未決拘禁者や,死刑確定者や,罰金不納にかわる労役場留置者や,また,女子の収容者が保育している満一才までの乳児や,その他観護の措置に付された少年の仮収容者などがある。人数のうえでもっとも多いのは,もちろん,受刑者である。昭和三三年中における一日平均人員で,収容者総数七九,二一二人(うち二・二パーセントの一,七一六人が女子)のうち,受刑者は,六五,四〇六人で,全体の八二・六パーセントをしめている。未決拘禁者は,一三,一五七人で,一六・六パーセントにあたる。その他は,労役場留置者五二五人,死刑確定者六九人,そのほかが五五人(この合計は〇・八パーセント)である。
 こうした刑務所収容者の数は,III-1図のように,戦後の犯罪事情を背景としていちじるしく増大した。それは,昭和二五年においてとくにするどいピークをえがき,昭和二六年からは一時下降を示し,昭和三〇年と同三一年にはふたたび上昇して,昭和三二年以後は,また,しだいに下降の傾向をみせている。

III-1図 刑務所収容者の一日平均人員

 これと刑務所の収容定員とのあいだには,かなりのひらきがある。昭和三三年についていえば,その収容率は,一・一倍である。昭和二三年の一・七倍や昭和二五年の一・五倍などにくらべれば,緩和されてきてはいるが,なお,いぜんとして過剰拘禁状態をぬけきってはいない。