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 昭和43年版 犯罪白書  

はしがき

 ここに,昭和四三年版の犯罪白書を刊行する運びとなった。犯罪白書は,わが国における犯罪の動向と犯罪者処遇の実情とを明らかにする目的で,昭和三五年創刊以来,毎年刊行されてきたものであって,このたびの犯罪白書は,九回目のものである。
 本書は,全体を三編に分け,第一編は,犯罪の動向と犯罪者処遇の実情として,昭和四二年を中心とした,最近における犯罪の動向を説明するとともに,検察・裁判・矯正・仮釈放および更生保護の各段階を通じて,犯罪者処遇の現況を概観し,第二編は,特殊な犯罪と犯罪者として,ここ数年来問題とされている,少年犯罪,交通犯罪および精神障害者等の犯罪を重点的にとりあげ,これらの犯罪の概況,犯罪者処遇の状況およびこれらをめぐる諸問題を比較的詳細に記述し,第三編は,犯罪と犯罪者処遇の一〇〇年として,本年が「明治百年」にあたる機会に,犯罪と犯罪者処遇の現状の理解に資するため,明治元年以来一〇〇年間にわたる,わが国における犯罪の推移と犯罪者処遇の変遷のあとを回顧し,その概要をとりまとめた。
 なお,本書においても,昨年と同様の方針により,できる限り,昭和四二年の数字をとり入れ,これにもとづいて考察するように努めたが,一部の事項については,統計資料の関係から,やむなく,昭和四一年の数字によったものもある。
 おわりに,本書をつくるにあたって,法務省各部局はもとより,最高裁判所事務総局および警察庁から協力と援助を受けたことを感謝し,あわせて,本書の内容に関する責任は,もっぱら,当研究所にあることを明らかにしておきたい。
昭和四三年一一月
長戸 寛美 法務総合研究所長