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令和7年版 犯罪白書 第7編/第6章/第1節/3

3 考察

不同意性交等及び不同意わいせつの性犯罪については、近年重要な法改正が重ねられており、犯罪の構成要件自体が拡張・整理され、非親告罪となり、公訴時効期間も延長されるなどした。そして、不同意性交等の認知件数・検挙件数・検挙人員は、1度目の法改正があった平成29年から増加傾向に転じ、2度目の法改正があった令和5年以降に急増しており、不同意わいせつの認知件数・検挙件数・検挙人員も、同年以降に同様に急増していることから、これらの法改正は、性犯罪被害を顕在化させる方向で機能していると思われる。また、警察等に認知された不同意性交等・不同意わいせつにおける被害者と被疑者の関係を見ると、近年、被害者と面識がある者の割合が相当高まっている傾向が認められる。性犯罪被害については、被害者となり得る者の周囲や身近な存在の中に、その加害者となり得る者が一定程度潜んでいるリスクがうかがわれ、被害の防止や犯罪の発覚等に向けた検討を行う上で留意が必要である。他方、不同意性交等及び不同意わいせつについては、認知件数等が増加しているだけではなく、嫌疑不十分人員及び嫌疑不十分率も増加傾向ないし上昇傾向にある。この種事犯の捜査においては、なお様々な困難が存在している状況がうかがわれる。

詐欺については、近年、認知件数の増加と検挙件数の減少に伴い、検挙率が大きく下がっている。詐欺を敢行する犯罪グループは方法・手段を複雑化・巧妙化させ続けており、その被害は深刻な情勢にある。また、警察等に認知された詐欺における被害者の年齢層は、男女共に65歳以上の高齢者の割合が高く、特に女性高齢者が占める割合が顕著に高い。特殊詐欺を含む詐欺被害については、被害額が高額となる場合も珍しくなく、高齢者を中心に、国民の安全・安心な生活が脅かされている。こうした状況を受け、令和7年4月に犯罪対策閣僚会議において決定された「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」は、一層複雑化・巧妙化する詐欺等に立ち後れることなく、国民をその被害から守るため、政府を挙げた詐欺等に対する取組を抜本的に強化することとしており、統計上の詐欺被害の動向は、このような施策の必要性を裏付けている。