精神障害を有する者については、平成30年1月1日から令和4年12月31日までの間に、全国の地方裁判所本庁及び支部において、強制性交等、準強制性交等、監護者性交等、強制わいせつ、準強制わいせつ又は監護者わいせつのいずれか(この項の(3)のとおり、結果的加重犯を除く。)により有罪判決の言渡しを受けた事件で、かつ、検察官において、犯罪の成立や情状に関して被害者が精神障害を有する者であると判断している事件のうち、5年6月の調査開始時点で有罪判決が確定していた事件の被害者176人(以下「精神障害あり群」という。)を対象とした。
精神障害を有しない者に対する性被害事件数は、精神障害を有する者に対する事件数よりも著しく多いことから、精神障害を有しない者については、令和4年1月1日から同年12月31日までの1年間に、高等裁判所の所在地である東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌及び高松の8地方裁判所本庁において、強制性交等、監護者性交等、強制わいせつ又は監護者わいせつのいずれか(この項の(3)のとおり、結果的加重犯を除く。)により有罪判決の言渡しを受けた事件で、かつ、検察官において、被害者が精神障害を有しない者であると判断している事件のうち、5年6月の調査開始時点で有罪判決が確定していた事件の被害者349人(以下「精神障害なし群」という。)を対象とした。精神障害なし群において、準強制性交等又は準強制わいせつが適用された事案の多くは、被害者が酩酊あるいは薬物等の影響による意識混濁・喪失状態や睡眠状態で敢行されたものであり、精神障害あり群において前記両罪名が適用された事案とは明らかに状況を異にしている事案が多かったことから、精神障害なし群に対する性被害事件においては、準強制性交等及び準強制わいせつを調査対象から除外した。
本調査の設計段階において、精神障害あり群は、性被害について適切に認識できていないことなどから、精神障害なし群よりも抵抗能力が低い場合が多いため、精神障害あり群に対する性被害事件では、加害者が被害者の抵抗を排する手段として、強度の暴行を加えていない事案が多く、致傷結果を伴う結果的加重犯の事件数が非常に少ないことが確認された。他方、精神障害なし群に対する性被害事件では、加害者が被害者の抵抗を排する手段として、強度の暴行を伴っている事案が少なくないことが確認された。そこで、本特別調査においては、致傷結果を伴う結果的加重犯の事件数の偏りが調査項目の分析結果に及ぼす影響を排除するため、強制性交等致傷や強制わいせつ致傷等の結果的加重犯については、これらの罪名のみで判決が言い渡された事件を調査対象から除外した。