我が国は、京都コングレスで採択された「京都宣言」の実施にリーダーシップを発揮すべく、「国際協力の促進のための各地域における実務家ネットワークの創設」、「刑事司法分野における次世代を担う若者の育成」及び「世界各国における再犯防止の推進」の三つを柱とした取組を積極的に進め、法の支配に裏打ちされた新たな国際秩序形成を主導している。
京都宣言では、国際協力及び法執行機関等を対象とした地域ネットワーク構築等の重要性が確認された。我が国が属するアジア太平洋地域においては、捜査共助の制度・運用に対する各国相互の理解不足等により、同分野における国際協力にはなお改善の余地があるほか、我が国が積極的に進めている東南アジア諸国における刑事司法分野の技術支援についても、効率的な国際協力を推進するため、他の支援国との情報共有や意見交換をすることが有効である。
そこで、法務省は、アジア太平洋地域における刑事司法実務家による情報共有課題解決型プラットフォームとして国連薬物・犯罪事務所(UNODC)との共催で「アジア太平洋刑事司法フォーラム(英語名:Criminal Justice Forum for Asia and the Pacific 略称:Crim-AP)」を定期開催することとし、各国の刑事司法実務家による相互理解・信頼を促進し、知見を共有することなどにより、アジア太平洋地域における一層の国際協力を進めている。
同フォーラムについては、令和4年(2022年)2月に第1回を、令和5年(2023年)2月に第2回を、令和6年(2024年)6月に第3回をいずれも東京において開催した。また、令和7年(2025年)6月に第4回を東京において開催し、22の国・機関から刑事司法実務家の参加があった。参加者は、捜査共助作業部会において、過去3回のフォーラムの議論を踏まえ、各国の捜査共助に関する情報共有や総括を行い、矯正保護作業部会において、「多様なステークホルダーの協力と再犯を減らすための社会的アプローチ」のテーマについて、情報共有や意見交換を行った。
令和3年(2021年)2月に実施された京都コングレス・ユースフォーラムでは、安全・安心な社会の実現に向けた40項目の勧告が採択され、京都コングレスに提出された。同勧告は、若者ならではの新鮮な視点を提供するものであり、各国から高い評価の声が寄せられた。また、京都宣言では、ユースフォーラムの開催などを通じた若者のエンパワーメントの重要性が指摘された。
そこで、法務省では、国連薬物・犯罪事務所(UNODC)の協力の下、「法遵守の文化のためのグローバルユースフォーラム」を定期開催することとした。「法遵守の文化」とは、国民が、一般に、法及びその執行が公正・公平であると信頼し、それゆえこれらを尊重する文化をいい、法の支配を支えるものである。法務省は、同フォーラムが、若者において法の支配や司法をめぐる現代の課題に関する理解を深め、互いのバックグラウンドや価値観を理解・共有し、多様性を許容してネットワークや友情を育む場となるよう、また、若者の声を国連に届けることができる場となるよう努めている。
同フォーラムについては、令和3年(2021年)10月に東京において第1回を、令和4年(2022年)12月に京都において第2回を、令和7年(2025年)2月に京都において第3回をそれぞれ開催し、各フォーラムで採択された勧告は国連犯罪防止刑事司法委員会(コミッション)に提出された。また、令和5年(2023年)7月には、司法外交閣僚フォーラムの開催に併せて、タイ法務研究所(TIJ)との共催で、東京において、「法の支配推進のための日ASEAN特別ユースフォーラム」を開催した。同ユースフォーラムにおいては、日本、ASEAN加盟国及び東ティモールから60名以上の若者が会場に集まり、「司法へのアクセスを強化するためのリテラシーの構築-デジタル時代における法の支配への鍵-」をテーマとして、活発で実りある議論が行われた。議論の成果は「勧告」として取りまとめられ、日ASEAN特別法務大臣会合に提出されたほか、同年開催のコミッションにも提出され、ユースフォーラムの共同議長によるスピーチが行われた。
京都宣言では、マルチステークホルダー・パートナーシップを始めとする再犯防止施策の充実について詳細な記載が設けられるなど、同分野に対する高い関心が示された。
そこで、法務省においては、外務省と連携し、京都コングレスの成果の一つとして、「再犯防止に関する国連準則」の策定を主導していくこととした。
国連準則は、各国における立法や施策立案の際に参照されることを通じ、各国の施策を充実させるために重要な役割を果たすものである。我が国は、再犯防止推進計画を策定し、国、地方公共団体、民間の団体等が相互に連携協力して取組を進め、着実にその効果を上げてきているところ、保護司制度に代表される地域ぐるみの再犯防止施策や、官民連携による社会復帰支援など、日本の強みを国連準則に最大限反映させるべく、国連準則策定に向けてリーダーシップを発揮している。
令和7年(2025年)4月の政府間専門家会合において、国連準則の内容につき実質的な合意に至ったことから、同年5月のコミッションに提出され、採択された。同年7月に国連経済社会理事会でも採択され、今後、成立に向けて、国連総会へと提出されることとなる。