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令和7年版 犯罪白書 第2編/第5章/第2節/2

2 生活環境の調整

受刑者の帰住予定地を管轄する保護観察所は、刑の執行のため刑事施設に収容されている者について、その社会復帰を円滑にするため必要があると認めるときは、その者の家族その他の関係人を訪問して協力を求めるなどの方法により、釈放後の住居、就業先その他の生活環境の調整を実施している。この結果は、仮釈放審理における資料となるほか、受刑者の社会復帰の基礎となる。保護処分又は刑の執行のため少年院に収容されている者についても、同様の生活環境の調整を実施している。

地方更生保護委員会は、保護観察所が行う生活環境の調整について、必要な指導・助言を行うほか、生活環境の調整が複数の保護観察所において行われる場合には当該保護観察所相互間の連絡調整を行う。これらの指導、助言、連絡調整の措置をとるに当たって必要があると認めるときは、受刑者に対する調査を行うことが可能である。さらに、地方更生保護委員会は、保護観察付一部執行猶予者について、猶予期間に先立って仮釈放がない場合、実刑部分の執行から猶予期間中の保護観察へ円滑に移行できるよう、生活環境の調整の結果を踏まえて審理し(住居特定審理)、その者が居住すべき住居を釈放前に特定することができる。令和6年に住居特定審理を経て住居が特定された保護観察付一部執行猶予者は、73人(前年比23人減)であった(保護統計年報による。)。

令和6年に生活環境の調整を開始した人員は、受刑者は2万7,305人(前年比4.2%減)であり、このうち保護観察付一部執行猶予者は1,068人であった。また、少年院収容中の者は2,554人(同12.4%増)であった(保護統計年報による。)。

高齢者又は障害を有する者で、かつ、適当な帰住先がない受刑者等について、釈放後速やかに、必要な介護、医療、年金等の福祉サービスを受けることができるようにするための取組として、特別調整本編第4章第3節4項参照)を実施している。具体的には、福祉サービス等を受ける必要があると認められること、その者が支援を希望していることなどの特別調整の要件を全て満たす矯正施設の被収容者を矯正施設等及び保護観察所が選定し、各都道府県が設置する地域生活定着支援センター(厚生労働省の地域生活定着促進事業により設置)に保護観察所が依頼して、適当な帰住先の確保を含め、出所後の福祉サービス等について特別に調整を行っている。特別調整の終結人員(少年を含む。)の推移(最近10年間)は、2-5-2-4図のとおりである。令和6年度の特別調整の終結人員は、766人であった(CD-ROM参照)。

2-5-2-4図 特別調整の終結人員の推移
2-5-2-4図 特別調整の終結人員の推移
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また、保護観察所は、保護観察付全部執行猶予の言渡しを受け、その裁判が確定するまでの者について、保護観察を円滑に開始するために必要と認めるときは、その者の同意を得て、生活環境の調整を行っており、令和6年中にこの生活環境の調整を開始した人員は23人であった(保護統計年報による。)。

さらに、勾留されている被疑者又は被告人についても、釈放される場合に、保護観察所による更生緊急保護の措置に円滑につなぎ、福祉サービス等に係る調整、就労支援等の支援をすることが、その社会復帰を円滑にするため必要と認めるとき、その者の同意を得て、生活環境の調整等を行うことができ、令和6年中にこの生活環境の調整等を開始した人員は765人(被疑者384人、被告人381人)であった(法務省保護局の資料による。)。