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令和6年版 犯罪白書 第7編/第6章/第2節/3

3 矯正

女性入所受刑者の人員は、一貫して男性入所受刑者よりも少ない。女性入所受刑者の65歳以上の構成比は、一貫して男性入所受刑者よりも高く、上昇傾向が続いている。女性入所受刑者の罪名別人員では、女性入所受刑者総数に占める窃盗及び覚醒剤取締法違反の人員の合計の割合が一貫して6割を超えており、平成16年から23年まで、覚醒剤取締法違反の人員が最も多かったものの、24年以降、窃盗の人員が覚醒剤取締法違反の人員を上回っている。一方、男性入所受刑者では、一貫して窃盗の人員が覚醒剤取締法違反の人員を上回っている。

女性入所受刑者の入所度数別構成比では、「1度」が男性入所受刑者よりも高い一方で、「4~5度」、「6~9度」及び「10度以上」は、いずれも男性入所受刑者よりも低く、女性入所受刑者は、男性入所受刑者よりも入所回数の少ない者が多い。女性入所受刑者(懲役)の刑期別構成比では、平成26年以降、「2年以下」及び「1年以下」が男性入所受刑者よりも高い一方で、女性入所受刑者の「5年以下」及び「5年を超える」は、総じて男性入所受刑者よりも低い傾向にあり、女性入所受刑者は、男性入所受刑者よりも刑期の短い者が多い。また、女性の出所受刑者(仮釈放又は満期釈放等により刑事施設を出所した者に限る。以下この項において同じ。)の仮釈放率は、一貫して男性の出所受刑者よりも高い。これらのことから、受刑者全体として見ると、女性受刑者は、男性受刑者よりも、刑期が短い者が多く、比較的早く社会内処遇等へ移行する傾向が認められる。

女性入所受刑者の婚姻状況別構成比では、「有配偶」及び「死別」は、いずれも男性入所受刑者よりも高く、「未婚」は男性入所受刑者よりも低いものの、「離別」については大きな差がない。また、出所受刑者の帰住先別構成比では、女性出所受刑者は、帰住先が親族である者(「父・母」、「配偶者」、「兄弟姉妹」及び「その他の親族」の各構成比の合計)が5割を超えており、一貫して男性出所受刑者よりも高い。これらのことから、受刑者全体として見ると、女性受刑者は、男性受刑者よりも、配偶者を有する者が多く、出所後は、親族が社会復帰の際の支援者・協力者となることが多い傾向が認められる。

女性入所受刑者の有職者率(入所受刑者中の犯行時における有職者及び無職者人員の合計に占める有職者人員の比率をいう。)は、一貫して男性入所受刑者よりも低く、女性入所受刑者は、男性入所受刑者よりも、無職の者の比率が高い傾向が認められる。