第二次再犯防止推進計画においては、女性受刑者は摂食障害等の精神的な問題を抱えている場合が多い旨指摘されている。刑事施設では、受刑者の再犯防止及び円滑な社会復帰のために、各種教育や改善指導、職業訓練を実施しているが、これらが適切に行われるには受刑者の健康が適切に管理されていることが前提となる。そのため、刑事施設には、医師その他医療専門職員が配置されており、診療等に従事している。また、専門的に医療を行う刑事施設である医療専門施設が全国に4庁設置されているほか、医療専門職員や医療機器を重点的に配置した医療重点施設も9庁設置されている(第2編第4章第4節2項参照)。このように、刑事施設に収容中の受刑者が疾病に罹患した場合には、当該受刑者が、収容されている施設において治療を受け、あるいは病状に応じて医療重点施設又は医療専門施設におけるより専門的な治療を受けることができるよう体制が整えられている。
刑事施設では、摂食障害を有する者が収容されると、個別に処遇方針を作成するなどして対応している。例えば、女性刑事施設の一つである西条刑務支所では、医師から摂食障害を有する受刑者に対し、体重減少などの状況に応じて食事や行動制限、経鼻経管栄養等の必要な措置を執る場合があることを説明した上で、定期的な体重測定などを行い、その結果、治療が必要と判断されれば行動療法と食事プログラムを併用した治療を行っている。
摂食障害を有する受刑者のうち、医療を主として行う必要がある者については、東日本成人矯正医療センター、西日本成人矯正医療センター(令和6年3月以前は大阪医療刑務所)又は北九州医療刑務所の各医療専門施設に移送・収容される。一部の医療専門施設では、摂食障害を有する受刑者に対し、行動療法、心を育てる医療、チーム医療といった要素を組み合わせた「摂食障害治療プログラム」に基づく処遇を行っている。
7-4-1-1図は、刑事施設における医療専門施設、医療重点施設及び女性収容施設の所在地を示したものである。