前の項目 次の項目       目次 図表目次 年版選択

令和6年版 犯罪白書 第4編/第6章/第1節

第6章 児童虐待・配偶者からの暴力・ストーカー等に係る犯罪
第1節 児童虐待に係る犯罪

児童虐待(保護者によるその監護する18歳未満の児童に対する虐待の行為。児童虐待防止法2条参照)については、従来から、児童虐待防止法を始めとする関係法令の整備等によって、これを防止するための制度の充実が図られてきた。児童虐待防止法について、平成29年法律第69号による改正では、都道府県知事等が、保護者に対し、児童の身辺につきまとったりしてはならないことなどを命ずる、いわゆる接近禁止命令の対象が拡大された(平成30年4月施行)。また、令和元年法律第46号による改正では、親権者が児童のしつけに際して体罰を加えてはならないことなどが明記された(令和2年4月施行)。

4-6-1-1図は、児童虐待に係る事件(刑法犯等として検挙された事件のうち、児童虐待防止法2条に規定する児童虐待が認められたものをいう。以下この節において同じ。)について、罪名別の検挙件数及び検挙人員総数の推移を見たものである(罪名別の検挙人員については、CD-ROM参照)。検挙件数及び検挙人員は、平成26年以降大きく増加し、令和5年は2,385件(前年比9.4%増)、2,419人(同8.9%増)であり、それぞれ平成16年(284件、311人)と比べると、約8.4倍、約7.8倍であった。その中で、罪名別では、特に、暴行や不同意わいせつが顕著に増加している。なお、不同意わいせつについては、平成29年法律第72号による刑法の改正によって対象が拡大した(監護者わいせつが新設された。)点に留意する必要がある(第1編第1章第2節2項参照)。

4-6-1-1図 児童虐待に係る事件 検挙件数・検挙人員の推移(罪名別)
4-6-1-1図 児童虐待に係る事件 検挙件数・検挙人員の推移(罪名別)
Excel形式のファイルはこちら

4-6-1-2表は、令和5年の児童虐待に係る事件の検挙人員について、被害者と加害者の関係別及び罪名別に見たものである。総数では、父親等の割合が71.0%を占めたが、罪名別に見ると、殺人及び保護責任者遺棄では、母親等の割合がそれぞれ83.7%、66.7%であった。また、加害者別に罪名の内訳を見ると、父親等のうち、実父では傷害及び暴行が8割強を占め、不同意性交等及び不同意わいせつは1割強(なお、両罪名における実父の割合は、それぞれ約4割)であったが、実父以外では傷害及び暴行が6割強であり、不同意性交等及び不同意わいせつが3割強を占めた。

4-6-1-2表 児童虐待に係る事件 検挙人員(被害者と加害者の関係別、罪名別)
4-6-1-2表 児童虐待に係る事件 検挙人員(被害者と加害者の関係別、罪名別)
Excel形式のファイルはこちら