令和5年における通常第一審の終局裁判に対する上訴率(公訴棄却の決定、正式裁判請求の取下げ及び移送等による終局を除く終局処理人員に対する上訴(控訴及び跳躍上告)人員の比率)は、地方裁判所の裁判については11.3%、簡易裁判所の裁判については7.9%であった。同年の高等裁判所における控訴事件の終局処理人員を受理区分別に見ると、被告人側のみの控訴申立てによるものが4,580人(98.7%)、検察官のみの控訴申立てによるものが44人(0.9%)、双方からの控訴申立てによるものが13人(0.3%)、破棄差戻し・移送等によるものが2人(0.0%)であった(司法統計年報による。)。
令和5年における高等裁判所の控訴審としての終局処理人員を罪名別に見るとともに、これを裁判内容別に見ると、2-3-4-1表のとおりである。高等裁判所の控訴審としての終局処理人員は、平成25年以降、5,700人台から6,100人台で推移していたが、令和2年から減少し続け、5年は4,639人(前年比181人減)であった(司法統計年報による。)。
破棄人員406人について破棄理由を見ると、判決後の情状によるものが277人と最も多く、次いで、事実誤認(56人)、量刑不当(49人)の順であった(二つ以上の破棄理由がある場合は、それぞれに計上している。司法統計年報による。)。また、第一審の有罪判決が覆されて無罪となった者は16人であり(司法統計年報による。)、第一審の無罪判決が覆されて有罪となった者は、検察官が無罪判決を不服として控訴した18人のうち7人であった(検察統計年報による。)。
第一審が裁判員裁判の控訴事件について見ると、令和5年の終局処理人員は293人(前年比1.3%減)であり、そのうち控訴棄却が239人と最も多く、控訴取下げが25人、公訴棄却が4人であった。破棄人員は25人であり、破棄のうち自判が22人(自判内容は、有罪が21人、無罪が1人)、差戻し・移送が3人であった(司法統計年報による。)。
令和5年に言い渡された控訴審判決に対する上告率(控訴棄却の決定、控訴の取下げ、公訴棄却の決定及び移送・回付による終局を除く終局処理人員に対する上告人員の比率)は、44.1%であった。最高裁判所の上告事件の終局処理人員(第一審が高等裁判所であるものがある場合には、これを含む。)は、平成25年以降、1,800人台から2,100人台で推移していたが、令和4年に1,600人台に減少し、5年は1,591人(前年比5.6%減)であった。その内訳は、上告棄却が1,338人(84.1%)、上告取下げが244人(15.3%)であり、破棄については、3人(自判が1人、差戻し・移送が2人)であった(司法統計年報による。)。
第一審が裁判員裁判の上告事件について見ると、令和5年の終局処理人員は129人で、その内訳は、上告棄却が122人、上告取下げが7人であった(司法統計年報による。)。