ACEは心身の健康やハイリスク行動に影響するとされていることから、ACEの状況を調査するため、「家庭内に、飲酒などアルコールの問題を抱えている人がいた」等の12項目について、少年に対し回答を求めた(18歳まで(18歳未満の者は調査時の年齢まで)の経験)。7-5-5-1図は、各項目の該当率を見たものである。少年院在院者、保護観察処分少年でACEを有する者(ACE該当数が1項目以上の者)は、それぞれ494人(87.6%)、150人(58.4%)であった。
項目ごとに見ると、調査対象者全体では、「親が亡くなったり離婚したりした」(54.8%)の該当率が最も高く、次いで、「家族から、殴る蹴るといった体の暴力を受けた」(47.4%)、「家族から、心が傷つくような言葉を言われるといった精神的な暴力を受けた」(35.6%)の順であった。全ての項目につき、少年院在院者の該当率は、保護観察処分少年の該当率よりも高く、中でも「家庭内に、違法薬物を使用している人がいた」(少年院在院者11.9%、保護観察処分少年2.3%)、「家族から、食事や洗濯、入浴など身の回りの世話をしてもらえなかった」(少年院在院者10.3%、保護観察処分少年2.3%)及び「母親(義理の母親も含む)が、父親(義理の父親や母親の恋人も含む)から、暴力を受けていた」(少年院在院者34.8%、保護観察処分少年8.9%)の項目は少年院在院者の該当率が顕著に高かった。