少年事件については、少年法により、被害者等による少年事件記録の閲覧・謄写の制度、被害者等からの意見の聴取の制度、被害者等に対する審判結果等の通知の制度、一定の重大事件の被害者等が少年審判を傍聴することができる制度及び家庭裁判所が被害者等に対して審判の状況を説明する制度がある。令和4年に、被害者等から申出がなされた人員は、少年事件記録の閲覧・謄写が延べ772人(うち相当と認められた人員747人)、意見の聴取が延べ248人(同236人)、審判結果等の通知が延べ748人(同741人)であった。また、同年に、少年審判の傍聴が認められた件数・人員は29件・60人であり、審判状況の説明が認められた被害者等の人員は275人であった(最高裁判所事務総局の資料による。)。
このほか、保護処分を受けた少年の処遇状況等に関する事項についても、被害者等が通知を希望し、これが相当と認められる場合には、少年院の長は、加害少年が収容されている少年院の名称、少年院における教育状況、出院年月日・出院事由等について、地方更生保護委員会は、仮退院審理の開始・結果に関する事項について、保護観察所の長は、保護観察処分少年及び少年院仮退院者の保護観察の開始・処遇状況・終了に関する事項について、それぞれ通知を行っている。令和4年においては、少年院での処遇に関する事項について202件、仮退院審理に関する事項について延べ82件、保護観察状況に関する事項について延べ462件の各通知が行われた(法務省矯正局及び保護局の資料による。)。なお、令和4年4月以降、保護処分時に特定少年であり、2年の保護観察に付された者が少年院に収容された場合にも、それぞれ同様の通知を行うこととしている。また、少年事件においても、意見等聴取、心情等伝達及び相談・支援の各制度が実施されている(制度の概要及び運用状況については、本節5項参照)。
なお、令和4年法律第67号による少年院法の改正(第2編第1章1項(2)参照)により、被害者等の心情等の考慮に係る規定が整備された(令和5年12月1日施行)。これにより、少年院の長は、<1>被害者等から被害に関する心情等を述べたい旨の申出があったときは、当該心情等を聴取すること、<2>在院者の個人別矯正教育計画(第3編第2章第4節3項(2)参照)を策定するに当たっては、被害者等の心情等を考慮すること、<3>被害者等から聴取した心情等を在院者に伝達することを希望する旨の申出があったときは、生活指導(同章第4節3項(2)ア参照)を行うに当たり、当該心情等を在院者に伝達すること、などとされた。
また、前記更生保護法の改正(本節5項参照)によって整備された規定の内容は、少年についても同様に適用される(ただし、<2>について、「対象者の仮釈放中」は、「対象者の少年院からの仮退院・退院後」となる。)。