4-7-2-8図は、女性の保護観察開始人員及び女性比の推移(最近20年間)を、保護観察の種別ごとに見たものである。保護観察処分少年(交通短期保護観察及び更生指導の対象者を除く。以下この項において同じ。)及び少年院仮退院者の人員は、いずれも近年は減少傾向にある。いずれの女子比も、近年は低下傾向にあったが、保護観察処分少年については、平成28年に10%を下回った後、29年からは10~11%台で推移している。少年院仮退院者については、30年に6.9%まで低下した後、令和元年からは7~9%台で推移している。仮釈放者の人員は、平成20年まで増加し続けた後、若干の増減を経て、26年から減少傾向にある。女性比は、29年(12.5%)まで上昇傾向にあり、その後は、12%前後で推移しており、令和4年は12.3%(前年比0.7pt上昇)であった。保護観察付全部・一部執行猶予者の人員は、平成22年からの緩やかな増加と28年からの減少を経て、30年に保護観察付一部執行猶予者の増加を受けて増加し、令和2年まで500人台で推移していたが、3年以降減少し、4年は426人(前年比62人減)であった。女性比は、平成23年以降14~15%台で推移している(CD-ROM参照)。
なお、女性の仮釈放率は、令和4年は74.0%であり、平成15年(79.9%)と比べて6.0pt低下しているが、男性の仮釈放率(令和4年は60.8%)と比べて相当に高い(2-5-2-1図CD-ROM参照)。
女性の保護観察対象者のうち、その多くを窃盗事犯者が占めている(CD-ROM資料2-9参照)ところ、令和2年に嗜(し)癖的な窃盗事犯者を対象とした「窃盗事犯者指導ワークブック」が作成され、それらの者の保護観察の実施に活用されている(第2編第5章第3節2項(7)参照)。特に女性の嗜癖的窃盗事犯者については、過去の傷付き体験から心理的な問題や対人関係の葛藤を抱え、社会不適応状態に陥って、窃盗を繰り返すに至った者が少なくないことから、窃盗に至った要因のアセスメントを行い、適切な処遇を行うことが有用であるとされる。