精神保健福祉法により、精神障害者に適時適切な医療及び保護を提供する趣旨から、警察官、検察官、保護観察所の長及び矯正施設の長に対し、通報義務が課せられている。すなわち、<1>警察官は、職務を執行するに当たり、異常な挙動その他周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、直ちに、その旨を、<2>検察官は、精神障害者又はその疑いのある被疑者又は被告人について、不起訴処分をしたとき、又は裁判(懲役若しくは禁錮の刑を言い渡し、その刑の全部の執行猶予の言渡しをせず、又は拘留の刑を言い渡す裁判を除く。)が確定したときは、心神喪失者等医療観察制度(本章第3節参照)の申立てをしない限り、速やかに、その旨を、<3>保護観察所の長は、保護観察に付されている者が精神障害者又はその疑いのある者であることを知ったときは、速やかに、その旨を、<4>矯正施設の長は、精神障害者又はその疑いのある収容者を釈放、退院又は退所させようとするときは、あらかじめ、本人の帰住地、氏名等を、それぞれ都道府県知事に(警察官は最寄りの保健所長を経て。矯正施設の長は本人の帰住地(帰住地がない場合は当該矯正施設の所在地)の都道府県知事に。)通報しなければならない。
令和3年度における精神保健福祉法に基づく都道府県知事への通報件数は、警察官の通報が1万7,609件、検察官の通報が2,731件、保護観察所の長の通報が8件、矯正施設の長の通報が5,059件であった(厚生労働省政策統括官の資料による。)。