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令和5年版 犯罪白書 第3編/第2章/第3節/コラム07

コラム7 法務少年支援センターが実施する「地域援助のいま」

少年鑑別所法(平成26年法律第59号)が施行され、地域社会における非行及び犯罪の防止に関する援助(以下このコラムにおいて「地域援助」という。)が条文に明記されてから8年が経過した。この間、少年鑑別所は、「法務少年支援センター」の名称で、地域社会における非行・犯罪の防止に向けた様々な支援に力を入れてきた。

地域援助では、支援体制の充実強化を図る上で、関係機関とのネットワークを構築し、その一端を担いながら専門性を発揮することを重視してきた。このコラムでは、各都道府県庁所在地など全国52か所にある法務少年支援センターが、各々の地域の関係機関と連携を図りながら取り組んでいる「地域援助のいま」について紹介する。

関係機関とのネットワークのイメージ図【法務省矯正局提供】
関係機関とのネットワークのイメージ図
【法務省矯正局提供】
更生保護女性連盟会同における講演【法務省矯正局提供】
更生保護女性連盟会同における講演
【法務省矯正局提供】

令和4年における関係機関からの依頼を受けて行う援助で、最も多くの割合を占めるのが学校等の教育機関である。校内でのいじめ等の問題行動への対応は、法務少年支援センターの専門的知見・技術の発揮が期待される領域であり、同センターでは、各地域の学校との連携の下に、教師等からの相談に応じるほか、生徒へのカウンセリングや心理検査の実施、問題行動抑止のための心理教育の実施等、多面的なアプローチを行っている。各地域における取組に加え、文部科学省と法務省との間でも連携強化が図られ、同年には、文部科学省において12年ぶりに改訂された「生徒指導提要」において、生徒の学校内外での非行等困難な課題への対応に係る連携先として、法務少年支援センターが挙げられることとなった。同指導提要においては、非行や犯罪行為のみならず、保護者との関係、学校・職場などでのトラブル、交友関係など幅広い課題に対して、法務少年支援センターが対応可能であることや、同センターも地域の関係機関とのネットワークの一翼として、役割を分担して生徒指導上の課題に対応することができる旨明記されており、今後、更に教育機関との連携が密なものとなり、支援体制の充実強化が図られていくことが期待できる。

学校における法教育場面 【法務省矯正局提供】
学校における法教育場面 【法務省矯正局提供】

また、近年の大きな流れとして、全国の都道府県警察と法務少年支援センター間の協定に基づく連携推進が図られていることが挙げられる。この連携における主たる対象者は、補導された少年や学校での問題行動により保護者又は学校から相談を受けた少年である。これらの少年が立ち直り、再び学校に定着するために、都道府県警察少年サポートセンター等において立ち直り支援活動が行われているところ、法務少年支援センターにおいては、面接や心理検査等を実施し、専門的知見に基づく指導・助言等を提供する役割を担うことにより、都道府県警察少年サポートセンターとの連携を図り、学校生活で一度はつまずいた少年のコミュニケーション能力や自己肯定感の向上を図り、問題行動の改善や立ち直りを支援することに寄与している。

さらには、社会問題となっている虐待についても、法務少年支援センターでは、要保護児童対策地域協議会等における個別事例に対する心理面からの見立てや支援方針の提案及び児童相談所又は児童家庭支援センター等との連携体制の構築を通じて、虐待の早期発見・早期対応につながる取組を進めている。被虐待経験を持つ児童に対してカウンセリング等の心理的ケアを行うことはもとより、非行・犯罪の専門的知見を有する機関として、被虐待経験を背景に生じている問題行動について、心理検査や面接を通じて的確に把握し、問題行動を抑止するために必要な支援、助言及び心理教育等の一歩踏み込んだアプローチが行われている。また、虐待の加害者である保護者に対しては、保護者自身が抱える問題や悩み等について的確なアセスメントを実施した上で、虐待を抑止するための心理教育を行うとともに、関係機関に対しては、支援方針の提案を行うといった形で、多面的に支援する体制をとっている。

法務少年支援センターへの相談の依頼は、年々増加傾向にあることに加え、コロナ禍においては、在宅時間増加が影響していると思われる悩みや問題に直面した家族からの相談も寄せられるようになった。対面での支援が困難な状況となったことを踏まえ、法務少年支援センターにおいては、いち早くオンラインでの相談体制の構築・整備を行い、相談者が自宅にいながら相談をしたり、ワークブックを活用した心理教育が受けられたりすることを可能とし、コロナ禍を経ても途切れることなく支援を行っている。

法務少年支援センターにおいて使用しているワークブックの一例 【法務省矯正局提供】
法務少年支援センターにおいて使用しているワークブックの一例 【法務省矯正局提供】

今回「地域援助のいま」として紹介した新たな取組は、その時々の社会問題や家族が抱える問題等に関するニーズに応える形で広がりを見せている。今後、関係機関とのネットワークの構築が進み、情報共有や協力体制を構築していくことを通じて、時機を捉えた迅速な対応が可能になることにより、一つの問題に対する多面的なアプローチが可能となり、「地域援助のいま」が更に発展していくことが期待される。

地域援助のシンボルマーク【法務省矯正局公開のもの】
地域援助のシンボルマーク
【法務省矯正局公開のもの】
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