国際組織犯罪対策について、国連は、平成12年(2000年)、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(国際組織犯罪防止条約)を採択した。この条約は、組織的な犯罪集団への参加、マネー・ローンダリング及び腐敗行為の犯罪化、犯罪収益の没収、犯罪人の引渡し、捜査共助等について定めたものである。また、平成13年(2001年)までに、この条約を補足する「人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書」(人身取引議定書)、「陸路、海路及び空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書」(密入国議定書)及び「銃器並びにその部品及び構成部分並びに弾薬の不正な製造及び取引の防止に関する議定書」(銃器議定書)も採択された。我が国は、平成15年(2003年)に国際組織犯罪防止条約、平成17年(2005年)に人身取引議定書及び密入国議定書の締結について、それぞれ国会の承認を受け、同年6月に刑法等を、平成29年(2017年)6月に組織的犯罪処罰法等を改正して、国内担保法を整備し、同年7月、同条約及び両議定書を締結した。
テロ対策については、従来から、国連等様々な国際機関において、テロリストをいずれかの国で処罰できるようにすることなどを目的とした国際条約等が作成され、我が国は、テロ防止対策に関する13の国際条約について締結済みである。
G7(フランス、米国、英国、ドイツ、日本、イタリア及びカナダ(議長国順)の総称。なお、平成10年(1998年)から平成26年(2014年)までは、前記7か国にロシアを加えた8か国について、「G8」と総称された。)において、昭和53年(1978年)、テロ対策専門家会合(通称ローマ・グループ)が発足し、国際テロの動向等について意見交換が行われてきた。また、平成7年(1995年)のG7サミットにおいて、国際組織犯罪に取り組む上級専門家会合(通称リヨン・グループ)の設立が決定され、リヨン・グループでは、国際組織犯罪に対処するための捜査手法や法制等について議論等が行われている。平成13年(2001年)の米国における同時多発テロ事件以降は、これらは統合され、ローマ/リヨン・グループとなり、年数回程度継続的に会合が開催されている。