仮釈放等審理に係る被収容者への調査については、地方更生保護委員会委員及び保護観察官が矯正施設に赴いて実施しているところ、必要に応じて、矯正施設と協議の上、テレビ会議システムで実施した。
仮釈放等審理に係る被収容者の感染状況については、各矯正施設から速やかに地方更生保護委員会に連絡がなされ、必要に応じて保護観察所へも情報共有が行われた。仮釈放等の許可決定がなされた被収容者について、感染の可能性が認められた場合には、矯正施設、地方更生保護委員会及び保護観察所が必要な情報共有を行い、引受人等の引受意思を確認するとともに、釈放後の感染防止のための措置等について検討を行った。
受刑者等の帰住予定地の状況を確かめ、住居、就労先等の生活環境を整えて改善更生に適した環境作りを働き掛けるため、保護観察官又は保護司が引受人等と面接するなどしているところ、必要に応じて、電話等の代替手段により、生活環境の調整を行った。
保護観察官及び保護司は、行状を把握し、遵守事項及び生活行動指針を守るよう必要な指示、措置を執るなどの指導監督を行い、また、自立した生活ができるように補導援護を行うため、保護観察対象者と面接するなどしているところ、必要に応じて、電話等の代替手段により、生活状況の把握等を行った。ただし、介入の必要性・緊急性が高い事態が起こった場合や、不良措置を執る必要がある場合は、十分な感染防止対策を講じた上で、保護観察官による面接や質問調査を実施した。
保護観察所における専門的処遇プログラムの集団処遇実施回数は、令和元年度は3,125回であったところ、2年度は2,097回、3年度は1,726回であった(法務省保護局の資料による。)。新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、集団処遇から個別処遇へ実施方法を切り替え、又はプログラムの実施を延期するなどした例が多かった。プログラムの延期期間中は、ワークブックを自習させ、記入されたワークブックを郵送させた上、電話によって指導するなどの代替措置を講じた。
社会貢献活動につき、令和元年度は1,042回実施し、延べ1,778人の保護観察対象者が参加したところ、2年度は379回実施し、延べ665人の保護観察対象者が参加し、3年度は322回実施し、延べ554人の保護観察対象者が参加した(法務省保護局の資料による。)。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、主な活動実施場所である福祉施設での活動が難しくなるなど、実施場所の確保に支障が生じ、回数等が減少したものの、活動人数を制限し、三つの密(密閉・密集・密接)を避けるなどの感染予防の対策を講じながら、主に、屋外での清掃活動や、保護観察所内での切手整理などの活動を行った。
更生保護施設への委託実人員は、令和元年が7,966人(うち新たに委託を開始した人員6,269人)であったところ、2年は7,539人(同5,806人)、3年は6,888人(同5,336人)であった(保護統計年報による。)。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、複数人用の居室であっても個室として運用せざるを得ない場合があったことなどから、委託実人員が大きく減少した。処遇に関しては、集団処遇を個別処遇に切り替えて実施したり、一部をワークシートを活用した学習で代替するなど、様々な影響を受けた。各施設では、マスクの着用等を含めた日常的な感染防止対策の徹底に係る指導、施設の消毒等作業、心身の不調を訴える在所者への対応等の同感染症の感染拡大下特有の業務が増加するなど、施設運営面での影響も生じた。