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令和4年版 犯罪白書 第7編/第4章/第3節/2

2 コロナ禍における処遇等

令和2年4月16日から、一部の刑事施設では刑務作業(炊事等の施設運営上最低限必要な作業及び医療衛生資材を生産する作業を除く。)及び矯正指導の実施を当面の間見合わせるなど、矯正施設における処遇も大きな影響を受けた。しかし、矯正処遇等の重要性に鑑み、少人数化、十分な換気、人と人との距離の確保等の感染症対策を講じることで、矯正処遇等を再開・継続する取組も行われた。

一部の刑事施設では、令和2年1月に民間企業からの依頼を受けたことをきっかけに、布マスクの製作を開始した。さらに、関係省庁からの要請に応じ、全国42庁(刑務支所を含む。)において、同年5月以降3年3月までに、医療現場で不足していた医療用ガウン(アイソレーションガウン)約140万着を製作した。当時の医療現場での深刻な物資不足に早急に対応するため、医療用ガウンの製作作業は、2年4月16日から当面の間、刑務作業の実施を原則として見合わせていた状況下においても、例外的に実施された。製作された医療用ガウンは、地方公共団体や民間企業に納品され、医療現場等において活用された。一部の少年院でも、社会貢献活動として在院者がマスクを製作し、近隣の社会福祉法人に贈呈された。

刑務所における医療用ガウン製作の様子【写真提供:法務省矯正局】
刑務所における医療用ガウン製作の様子
【写真提供:法務省矯正局】

新型コロナウイルス感染症の感染防止を図りつつ、適正な外部交通を図るため、刑事施設では、令和3年8月から、刑事収容施設法146条1項に基づく電話による通信の一形態として、一定の要件の下で、遠隔地からでも、オンライン会議システムを用いて、面会と同様にお互いの顔を見ながら意思疎通を行うことが可能とされた。