刑事施設においては,詐欺及び特殊詐欺事犯受刑者について,全国的に統一された標準的なプログラムは策定されていないが,一般改善指導の一つとして,特殊詐欺事犯受刑者に対する再犯防止指導が行われている。同指導では,被害者の心情及び事件の重大性を認識させ,しょく罪の方法を考えさせるとともに,再犯を防止するため,事件に至るまでの自己の問題点等を振り返らせ,健全な金銭感覚及び職業観を身に付けさせることを目的として作成された教材が活用されている。少年院においても,各施設の実情に応じ,特殊詐欺再非行防止指導の取組が行われている。コラム12では,2か所の少年院での指導実践例を紹介しているが,いずれもその指導の中心として,「罪障感の醸成」が挙げられている。
更生保護においては,詐欺事犯者について,他の保護観察対象者と同様に,生活環境の調整や保護観察が実施されているが,令和3年1月から,保護観察処分の対象となった事案に特殊詐欺への関与が含まれる者やそれ以外の者で,現に特殊詐欺グループへの関与が認められる者を「特殊詐欺類型」の保護観察対象者に認定し,最新の知見に基づく,より効果的な処遇が行われるようになっている。