刑事施設においては,刑事収容施設法等に基づき,法務省矯正局の定める標準プログラムを基準に,具体的な指導内容及び方法に加え,施設の実情,対象者の資質,指導効果等を考慮した指導時間数,頻度及び期間を定めて,6種類の特別改善指導を行っている(第2編第4章第3節3項(2)参照)。
一方,詐欺及び特殊詐欺事犯受刑者に対する再犯防止指導については,全国的に統一された標準的なプログラムは策定されていないが,一般改善指導(第2編第4章第3節3項(2)参照)の一つとして,同受刑者に対する指導を実施しており,令和2年度には273人(実施施設数は37庁(支所を含む。))が受講を開始した(法務省矯正局の資料による。)。特殊詐欺事犯受刑者に対する再犯防止指導は,同受刑者に,被害者の心情及び事件の重大性を認識させ,しょく罪の方法を考えさせるとともに,再犯を防止するため,事件に至るまでの自己の問題点等を振り返らせ,健全な金銭感覚及び職業観を身に付けさせることを目的として法務省矯正局が作成した視聴覚教材(DVD教材)及びワークブックを各施設の実情に応じて活用することなどにより実施されている。なお,視聴覚教材とワークブックは,セットで構成されており,自己学習又はグループワークのいずれの形式での使用も可能な教材となっているほか,被害者団体等の方々が外部講師として指導を行う際にも使用できるようになっている。