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令和3年版 犯罪白書 第7編/第2章/第1節/3

3 コロナ禍における新たな形の国際会議

当初,京都コングレスは,令和2年(2020年)4月20日から開催される予定であった。しかしながら,同年3月,新型コロナウイルス感染症の世界的な感染状況等に鑑み,開催が延期されることとなった。 その後,同年7月,令和3年(2021年)3月7日から6日間の日程で開催されることが決定された。

京都コングレスは,新型コロナウイルス感染症の感染拡大後,国内で初めて開催される大規模な国際会議であり,また,国連にとっても国連本部所在地以外で初めて開催される大規模国際会議であったことから,同感染症の感染防止のための対策が入念に検討された。そして,開催方式については,オンライン会議システムを幅広く導入し,オンライン参加と会場参加を併用する,いわゆるハイブリッド方式とすることが決定された。

国外からの参加者に対しては,当時は特段の事情が認められる場合を除いて原則として入国を許可しないこととなっていたことを踏まえ,会議運営に必要不可欠な国連職員と閣僚級以上を含む各国政府等代表団に限って例外的に入国を認めた上で,出発前の検査,本邦入国時の検査と陰性が確認されるまでの空港待機,移動には専用のシャトルバスを利用して公共交通機関の使用を禁止,宿泊先の指定と一般客との動線を分けることによる接触防止等の厳格な措置が講じられた。また,国内からの参加者についても,来場前の検査を求めるなどの措置が講じられた。

会場内では,国連と日本政府の双方が医療専門家を入れた対策チームを編成し,チーム間で綿密な協議を重ねて策定した感染症対策ガイドライン等に従った厳格な感染予防措置が講じられ,入場口での検温スクリーニング,会場全体及び各会議室への入場者制限を含むソーシャルディスタンスの確保,来出場者の記録管理,24時間英語対応可能な医療チームの常駐等の万全の感染症対策が徹底された。

このような厳格な体制の下での開催であったが,京都コングレスは,オンライン参加者と会場参加者を合わせると,過去最多となる152の国と地域から約5,600人の参加登録を得て開催された。また,会場参加者について,京都コングレスへの参加に関連して新型コロナウイルス感染症に感染したとされる事例は,報告されていない。