昭和30年(1955年)にスイスのジュネーブで開催された第1回コングレスにおいて,被拘禁者処遇最低基準規則が採択された。その内容は,刑事施設の管理全般に関するものであり,同基準規則は,全世界の被拘禁者の処遇に計り知れない影響を及ぼしてきた。同基準規則の採択から半世紀が過ぎて見直しの気運が生じ,数年の議論を経て,国連被拘禁者処遇最低基準規則(ネルソン・マンデラ・ルールズ)としてまとめられ,平成27年(2015年)の第13回コングレスで採択された政治宣言には,同基準規則を歓迎するとともにコミッションが同基準規則について具体的行動を取ることを期待する旨の文言が盛り込まれた。これを受けて,同基準規則は,その後のコミッション及び国連総会で採択された。その内容は,被拘禁者ファイルの管理,内部・外部による監査,一定水準の居住設備・衣類等の保障,医療の保障,残虐な懲罰の禁止,不服申立ての権利,家族等との通信・面会の権利等あらゆる種類の被拘禁者の処遇及び施設の管理についての最低限の基準を示すものである。