人身取引は重大な人権侵害であり,平成26年12月,犯罪対策閣僚会議により,総合的かつ包括的な人身取引対策に取り組んでいくため,人身取引対策行動計画2014が策定され,労働搾取を目的とした人身取引の防止や男性も含む人身取引被害者に対する一時保護機能の提供等の保護機能の強化等の施策が掲げられている。
発見された女性の人身取引被害者については,必要に応じ,婦人相談所が一時保護を行い,又は民間シェルター等に一時保護を委託するなどして,その保護を行っており,令和元年度においては,婦人相談所が一時保護を行った被害者数は15人であり,婦人相談所が民間シェルター等に一時保護を委託した被害者は2人であった。なお,婦人相談所が民間シェルター等に人身取引被害者の一時保護委託を実施するようになった平成17年度から令和元年度までに一時保護された人身取引被害者は,累計430人である(厚生労働省子ども家庭局の資料による。)。また,外国人の人身取引被害者については,被害者が不法残留等の入管法違反の状態にあっても,在留特別許可による法的地位の安定化を図っており,令和2年には,入管法違反の状態にあった7人(平成17年以降の累計で193人)の人身取引被害者全員に在留特別許可がなされた(出入国在留管理庁の資料による。)。
このほか,国際移住機関(IOM)は,警察,出入国在留管理庁,婦人相談所等と連携し,人身取引被害者に対する帰国支援等の事業を行っており,令和2年には1か国12人(同事業が開始された平成17年5月以降の累計で9か国343人)に対する帰国・社会復帰支援が行われた(国際移住機関の資料による。)。